大雨で運休続いた東海道新幹線 全線44%占める盛土の水対策で「雨に強い」新幹線に 水分量をデータ化
台風10号の影響で東海道新幹線は運休が続きました。実はいま、雨に強くしようという取り組みが進んでいます。
盛土の水対策で「雨に強く」
JR東海の研究施設で行われた実験の映像。水がかけられているのは、実物大の新幹線の盛土(もりど)です。雨が降った時の水の染み込み方を調べています。
JR東海技術開発部 新美利典さん:
「土の粒子が、普段は適度に水分があれば引っ付くような力があり、うまくかみ合っている状況になる。水の量が過剰になると、引っ付きやすさやかみ合わせが弱くなって、滑りやすくなるということが起きる」
東海道新幹線は、全線の約44%の区間で盛土の上を走っています。雨が多く降ると土が崩れやすくなる可能性があるため、降った雨の量や土壌に染み込んだ水の量で運転見合わせを判断しています。盛土の雨への対策はこれまで…
JR東海技術開発部 新美利典さん:
「1つは盛土内に雨水を入れない遮水と、盛土内に入った雨水を抜く排水という2点が重要」
盛土の「のり面」の表面をコンクリートで覆う「のり面工」。雨水が斜面から入らないようにします。しかし、線路が通っている部分はジャリで覆われているため、雨がしみ込みます。そこで盛土内に水抜きパイプを差し込んで染み込んだ水を外に出すなどの対策をとってきました。
センサーで盛土内の水分量を計測
さらに近年、大雨が増えていることから、対策の効果を上げようと新たに始めた取り組みが…
JR東海技術開発部 新美利典さん:
「土壌水分計と呼ばれるセンサー。このセンサーを土の中に埋めると、その場所の盛土内の水分量を計測できる機械」
センサーは盛土のさまざまな場所に設置し、どの場所にどれくらいの水がたまるのか、データをとります。データを詳しく分析し、水抜きパイプの増設や、新たな水対策の開発に役立てようというわけです。
JR東海技術開発部 新美利典さん:
「安全性の向上が第一。運休をするといった事態が発生している中で、(安全対策が進めば)運転規制を最適化する(降雨量の規制値を下げる)ことにもつながっていく」