豊田会長は日野・三菱ふそう統合を「民間主導でできた」と自信 専門家「トヨタGある程度再編進む」と指摘

トヨタ自動車の株主総会が開かれ、トヨタ傘下の日野自動車が三菱ふそうトラック・バスと経営統合することについて、豊田章男会長は「業界の大編成を民間主導でできた」と語りました。
記者:
「午前9時30分ごろのトヨタ自動車本社前です。これから始まる株主総会を前に、株主が続々入っていきます」
愛知県豊田市のトヨタ自動車本社で開かれた株主総会。2024年より2096人多い6752人の株主が参加しました。株主からは、6月10日に発表された日野自動車と三菱ふそうトラック・バスの経営統合について、統合後の関係を尋ねる質問がありました。
これに対し豊田章男会長は、「国内のトラック業界が実質2グループになる大編成を民間主導でできた。日野と三菱ふそうは両社の特色を生かしていく。トヨタと日野の連携の形は変わるが、トヨタのトラックへの愛、自動車業界への愛は変わらない」と答えました。
株主:
「豊田自動織機についても日野自動車についても、世間で言われるような対立やお金の話ではなく、町一番の会社としてやってほしい」

トヨタグループをめぐっては、豊田自動織機が株式公開買い付け=TOBを受け入れることを決めました。これによりトヨタ自動車などが出資する持ち株会社の完全子会社になり、株式は非公開化されます。

豊田自動織機がTOBを受け入れた背景について専門家に聞きました。自動車経済評論家の池田直渡さんです。
自動車経済評論家 池田直渡さん:
「機関投資家からの短期利益に対する強い要求というのがあるんです。先の未来のことじゃなくて、今期の決算をよくしろ、と。研究開発なんか場合によってはやめてしまった方が出資出費が減って利益が上がるじゃないか、というような要求が起きるわけですよね」
短期的な利益を求める機関投資家に対し、長期的視点から研究開発に投資したい豊田自動織機。中でも力を入れているのが新しいバッテリーです。
自動車経済評論家 池田直渡さん:
「『バイポーラバッテリー』というバッテリー構造にちょっと改革をもたらした新しいバッテリーがありまして、これが豊田自動織機のメイン技術です」
バイポーラバッテリーとは、構成する電池の1ブロック=セルを小型化する技術で作られたバッテリーです。バッテリーの大きさが同じでも、より多くのセルを入れられるので、総電力量を増やすことができ、電気自動車=EVの航続可能距離を伸ばせるのではないかと期待されています。
自動車経済評論家 池田直渡さん:
「バッテリーというこれからの社会に必要なものを、きちんとお金をかけて開発していくとか大きな目標が、短期利益しか見ない機関投資家に否定されるのであれば、そこはちょっと変えていった方がいいという結論に至ったんだと思うんですね」

豊田自動織機のTOBがトヨタグループ全体に与える影響については…
自動車経済評論家 池田直渡さん:
「これ(豊田自動織機のTOB)を1つのテストケースとして、グループ内のある程度の再編が進むんだろうなと思います。(トヨタ自動車は)グループ全体を引っ張っていく大きなビジョンを考えなければならないし、その中で(グループの)企業それぞれの規模と成長余力、迎えている現状、株主構成など諸々を考慮して、(グループ会社)それぞれが成長力を最大にできる道というのを一緒に考えてサポートする役割。そういうことをこれからいろんなグループの会社についてやっていくんじゃないかなというふうに私は理解してます」