地球の裏側に日本の「SAKE」を売り込め アルゼンチンの規制撤廃で一気にビジネスチャンス

JICA中部が南米のアルゼンチンに日本の酒を売り込もうと動いています。記者が同行取材しました。
アルゼンチンで「日本酒」の評判は?

地球の裏側にある、日本から最も遠い国のアルゼンチン。熱狂的なサッカー大国としても知られる国です。首都ブエノスアイレスにあるアジア料理店が集まるビル。その2階の賑やかな会場でふるまわれていたのは、日本酒です。
東海地方の醸造メーカーのアルゼンチン進出を支援しようと、JICA中部が企画しました。

こちらの女性は、しょうゆをチーズにかけて試食。日本人にはなじみのない食べ方ですが、悪くない表情。愛知県の酒蔵「中埜酒造」のブースです。
中埜酒造 輸出課 齋藤貴之課長:
「日本市場は飲酒人口が減っているので、弊社としても輸出を伸ばしていくことが今後の大きな課題です」

愛知県半田市に本社を置く中埜酒造は、約180年の歴史を持つ酒蔵です。「國盛」で知られており、25年ほど前から輸出にも力を入れています。今回、アルゼンチンへの販路拡大のために用意したのは3つ。
・「國盛 にごり酒」720ml 931円
・「國盛 紅茶梅酒」720ml 1373円
・「國盛 フルリア もものお酒」300ml 660円

中埜酒造 輸出課 齋藤課長:
「今回酒蔵が8社(アルゼンチンに)行きますが、同じお酒を持っていってもアルゼンチンの人は分からないと思います。他社にはないお酒を持ってチャレンジしたいです」
果たして、アルゼンチンの人に受け入れられるのでしょうか。

試飲する男性を見ていると、香りは「合格」、味も「おいしい」と評判上々。輸入業者の男性も、ニッポンのSAKEに高い関心を示していました。

日本食レストラン経営者:
「アルゼンチンは日本のお酒の種類が少ないです。今日はできるだけたくさんのお酒を仕入れたくて見に来ました」
政権が変わって規制緩和→ビジネスチャンス到来

アルゼンチンはこれまで、国内産業の保護や外貨流出を防ぐため、厳しい規制を課してきました。例えば、輸出業者への代金の支払いは、通関から最大1年後というルールがあり、アルゼンチンへの輸出の際の大きな障壁となっていました。

同じ南米のブラジルと比べると、日本からの輸出額は、5分の1程度です。しかし、2023年12月にハビエル・ミレイ大統領が就任。政権が変わり、状況が一変します。それまでの規制が段階的に緩和され、2025年4月からは輸出業者への代金の支払いも、通関後すぐにできるようになりました。

アルゼンチンの規制緩和は大きなビジネスチャンス。今回のツアーには、中埜酒造をはじめ、愛知・岐阜・三重・静岡の醸造企業10社が参加しました。33時間かけてアルゼンチンに到着。さっそく、作戦会議です。
ジェトロ ブエノスアイレス
西澤 裕介所長:
「余計な手続きがあることで、物価が上がります。現政権は物価を下げたいので、品質の水準が信用できる国には、手続きを簡素化する方針になっています」
“SAKE”はアルゼンチンの肉料理とも相性抜群

中埜酒造が用意した甘いお酒は、アルゼンチンの肉料理とも相性がよさそうです。
中埜酒造 輸出課 齋藤課長:
「脂っこい料理、焼き肉とか、脂が多いとどうしても口の中がベタベタしますが、こうした甘いお酒を一緒に飲みながら、口の中をリフレッシュしてもらえば」

「國盛 紅茶梅酒」をひと口飲んだソムリエの女性は「エクセレント!」。さらにアルゼンチンの記者は「お酒の種類の多さに驚いた。それぞれに味の違いがあって全部おいしかった」と高く評価しました。

そして来場者にはシートが配られ、商談したい企業があれば、シートにチェックを入れます。男性が商談相手に選んだのは、中埜酒造でした。
中埜酒造 輸出課 齋藤課長:
「アポイントは1件取れそうなので、商談はできそうです。何とかまとまるようにがんばりたいですね」





