給食も麺に?コメ高騰で加速する“小麦シフト” 「売れば売るほどうれしいわけでもない」 物価高に立ち向かう老舗製麺所の挑戦 愛知・豊山町

小麦の収穫が本格化するなか、コメ不足の影響を受けて小麦需要が高まっています。この小麦の商売の根幹になるのが「麺」類の製造に関わるみなさんです。
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愛知県豊山町にある秋田製麺所。戦後まもなくの1948年に創業した老舗です。地域のスーパーや飲食店などの発注に応えてきました。
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)
「(これまで)ゆでうどんは12月から3月、4月と暖かくなってくると、2割3割と(発注の)数字が落ちてくるが、(ことしは)暖かくなっても、あまり数字が落ちない。コメの影響があるのかなと感じている」
1人前ずつの袋に入れて納めた「ゆでうどん」の個数は今年1月から5月にかけては、1年前と比べてどの月も増えました。
「焼きそばも」同様です。
一方、こんな調査がことし4月にあったと言います。
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)「学校給食(めん協会)から米飯のメニューを麺に振り替える計画をしているが、対応できるかと打診があった」
「米飯」から「麺」へ? 影響は学校現場でも
コメの値上がりに応じて学校現場でも給食のメニューをどうすべきか考えなければならない事態。
秋田製麺所は「愛知県学校給食めん協会」に所属する12社のうちのひとつで、豊山町や瀬戸市の小中学校に給食用の麺を納めています。
めん協会からコメ価格高騰で米飯給食から麺やパンへのメニュー移行が模索されているという知らせが、ことし4月に入りました。12社の皆さんは今後、麺類の提供数が増えたとしても対応は可能かどうかと聞かれました。
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)「(学校給食は)予算が限られて作っているので、1食あたりのご飯の金額が高くなると麺に置き換える考えなのでは」
このように小麦製品への関心が一段と高まっていますが、小麦にしても物価高の波をもろに受けています。
かかるコスト問題…小麦収穫の時期に新たな思いも
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)「ウクライナのことなどいろいろあって、(小麦の価格が)変動して高くなっていたが、(商品によっては)金額が決められていて価格に転嫁できるわけではないので、企業努力でやっている」
大手の日清製粉は「業務用小麦粉」については「来月10日の納品分から値下げする」と、ことし4月に発表。秋田製麺所も日清製粉と取引していますが…
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)「増産しても逆に残業が増えて人件費がかかる分、値段にのせられないので、売れば売るほどうれしいというわけでもない」
人件費やパッケージ代、輸送コストも合わせて考えると物価高は依然として頭の痛い問題です。しかし、コメ高騰で人々の視線がより小麦製品に向いていることについて…
(秋田製麺所 広報 秋田千晴さん)「小麦本来のおいしさを分かってもらえる機会ができるのはうれしい。新しい小麦のおいしさを味わってもらえたら」
小麦収穫の時期に思いも新たに、物価高の難局を乗り切りたいという秋田さんです。