恋人や友達、ペットに会いたい時もOK 名古屋のゼネコンが「帰省旅費」拡充 若手の定着向上もねらう

転勤すると家族や恋人に会いにくい…。そんな不安を和らげようと、愛知県の会社がある制度を始めました。若者の離職防止にもつなげたいといいます。
厚労省の調査によると、大学新卒で入社し、3年以内で離職する人は近年3割台で推移。「若手の定着」は、人手不足に悩む企業に大きな課題となっています。
名古屋市の中堅ゼネコン「矢作建設工業」は、遠方で勤務する単身赴任者や独身者向けの「帰省旅費」を4月に拡充しました。
「4月からは『社員及び社員の家族“等”』という形で、社員のみではなくて家族“等”まで対象を拡大した形になる」(矢作建設工業 人事部長 吉田宗史さん)
もともとは社員本人が帰省するときの交通費を月4往復分まで出していましたが、家族などが赴任先を訪ねる時などの交通費も対象に加えました。
家族“等”の中にはこんな人も――。
「家族だけではなくて、社員にとって大切な人、友人であれ恋人であれその人にとって大切な人と会う目的で帰省するのであれば、それは会社が負担しようと対象を拡大した」(吉田さん)
席の予約が必要なら、ペットでも対象になるといいます。
人事部長「安心して仕事に集中できる環境を」

ねらいは社員が安心して仕事に集中できる環境づくりです。
社員本人の帰省に伴う時間や体力の負担を軽減しながら、家族などと過ごす時間を確保したいといいます。
広島で7年間単身赴任中の40代の男性。これまで家族が広島に訪れるのは数年に1度でしたが、さっそく5月、妻と2人の娘が来る予定です。
「楽しみです。広島なので、お好み焼きの店をチョイスしているところ。建設業は遠隔地勤務が多い業種。制度を使い、勤務中と休暇のオンオフが図れると思う」(広島支店勤務の40代男性)
東海地方出身者も多いこの会社では、特に若手社員で転勤を不安に思っている人も少なくないといいます。
「安心して働いてもらえるような環境を会社としてはきちんと作っていって、いろいろなエリアで活躍してもらえる社員をどんどん増やしていきたい」(吉田さん)
若手の定着率を高めるさまざまな取り組み

離職防止や働きがい向上のためにユニークな取り組みをする企業は、ほかにもあります。
リユース業の「買取王国」では、1泊2日の「育成ビジョン合宿」を行っています。
コーチ役の先輩が新入社員に向けて育成ビジョンをプレゼン。新入社員がコーチ役の先輩社員を選ぶ「マッチング」制度を導入しています。
コーチ役の先輩社員も新入社員も成長のスピードが上がり、人材育成に興味を持つ人が増えたそうです。導入前は若手の半数以上が2年以内に離職する状況でしたが、今では1割程度まで減ったそうです。
さらに、比較サイトなどWEBサービスを提供する「エイチームホールディングス」では、「遊べるオフィス」改革ということで、社内にジャングルジムやすべり台、ボルダリングパネルを10年ほど前から設置しています。
もとも若い社員が多い会社で、「会社に行くのが楽しい」と思える場所にして定着率を上げていきたいということです。