企業とネーミングライツ契約を結ぶ大学が増加 知名度上げたい企業と収入の多角化目指す大学の思惑が一致

いま全国の大学で施設の命名権=「ネーミングライツ」の契約を企業や団体と結ぶ動きが広がっています。企業と大学、それぞれの狙いを取材しました。

愛知県春日井市の中部大学です。お昼時の食堂を訪れると、多くの学生の姿が。列に並んでいる学生が手にしているのは「当たり」と書かれた紙です。これは抽選に当選した学生を対象にランチを無料で提供する取り組みで、岐阜県に拠点があり、主に企業向けの焼却炉などの耐火物を製造している「TYK」が企画しました。
学生:
「最近ちょっとお金に困っていたので、うれしかった」
「お小遣いに優しいのでありがたい」
TYKが企画する「無料ランチ」は今回が初めてです。その理由は…
TYK人事部 村松拓海さん:
「中部大学とネーミングライツ契約を結んでいる」

TYKは2024年10月、中部大学とネーミングライツ契約を結び、施設内の食堂を「TYKダイニング」と命名。これがきっかけで「無料ランチ」を企画しました。
TYK人事部 村松拓海さん:
「(会社を)学生に多く知ってもらえるところに期待している」
学生:
「いい宣伝になっていると思う」
「この会社名を見て、友達が多治見市(TYKの本部所在地)の人で(社名を)聞いたことがあると言っていたので、調べた」

こうしたネーミングライツ契約を結ぶ動きは全国の大学で広がっていて、県内では名古屋大学や名城大学などが導入しています。中部大学では2024年からあわせて8社と契約を結んでいます。力を入れるのにはある理由が…
中部大学渉外部 荒木正勝次長:
「いろいろな企業と話をする中で、いま非常に採用難で売り手市場なので、会社としては知名度を上げていきたいというニーズがあった。大学としてもこれから少子化を見据えて収益の確保したいという部分で、収益を多角化していきたいという思いがあったので、そういった一環で始めた」
中部大学はネーミングライツを活用して安定した収入源を確保し、施設の拡充や研究開発に充てていく考えです。
中部大学渉外部 荒木正勝次長:
「ウインウィンの関係でないと継続できない。双方の視点に立ってビジネスを考えていきたい」