面倒くさいのが愛おしい!レトロなサイドカー付きバイクの魅力
車やプラモデル、カメラなど、趣味の世界を楽しむ大人たちに密着してその魅力を調査する『極上ライフ おとなの秘密基地』。2016年~2018年までテレビ愛知で放送され、現在はLocipoでアーカイブを見ることができる。今回の秘密基地の主は、サイドカー付きヴィンテージバイクを愛する、愛知県一宮市の飯田喜久雄さん。80年前に作られた、大きなハーレーダビッドソンVFDは、乗り方や操作方法も一手間かかる。そんなレトロなバイクの魅力とは?
野太いエンジンを響かせながら走る、ちょっとレトロなオートバイ。1934年式サイドカー付きハーレーダビッドソンVFDだ。船のような流線型の車体やドシンと構えた後ろ姿は、存在感がある。80年前に作られたとは思えないこのバイク。飯田さんが自分でパーツの取り換えや塗装を施した、サイドカー付きヴィンテージバイクの排気量は1200ccもある。
存在感たっぷりの大きなサイドカーは、日本仕様で作られたためバイクの左側に付いている。まさに男心をくすぐる大きなおもちゃ。やっぱりサイドカーが付いていると、バイクとはいえかなり大きいようだ。「このバイクは場所を取る。これだけで、オートバイ3台分入る」と飯田さん。全長2.3メートル、全幅1.8メートルという大きさで、普通自動車とほとんど変わらないため、駐車スペースを取るのも大変である。「サイドカーの先端が尖っているタイプが、あんまりない。だんだん丸くなってきてるもんで。いわゆる昔のボートみたいな感じやね」と飯田さんは言う。その形から船とも呼ばれるサイドカーの座席。レトロなデザインに、飯田さんはくびったけなのだ。座席へ乗り込む方法は、風防を上の方に開き、さらにドアを開けて乗る。
バイク本体から3本の太い鉄パイプでつながっている、飯田さんのサイドカー。サイドカー側に車輪が一つ付いているので、3つのタイヤで車体を支えている。乗り心地については、「クッションはいいわね。板バネがついているから。走る時はやっぱりサイドカーに乗ってもらった方が安定するわねぇ、だけど誰も乗ってくれへんもんで。家族でも。一番初め、家内や子供を乗せた時には、町で止まるとみんなが指差すもんで、それからあまり誰も乗ってくれん」と飯田さんは笑う。
サイドカーが誕生したのは、19世紀初頭のヨーロッパ。オートバイが手軽な足として使われていた頃、荷物や人をたくさん運ぶため、オートバイの横に車輪を取り付けたサイドカーが作られるようになった。
日本では戦後に普及し、自動車の代わりに大活躍。現在は趣味性の高い乗り物として、愛好家たちを楽しませている。飯田さんのハーレーが作られたのは1934年。初代オーナーは、一宮にあった繊維会社の経営者。当時は庶民には手が出せない高価なバイクだったとか。「愛知県に数えるほどしかなかった。昔は金持ちしか持ってなかった」と飯田さん。
その歴史を物語るのが、ハーレーのナンバープレート。「当時の“愛”ナンバー。年式と車体が合っている。今の新しい一宮ナンバーだと、ちょっとなんとなく合わないという感じで」と飯田さんは語る。昭和40年まで使われていた愛知県の“愛”ナンバー。このバイクが、長い時を超えて乗り注がれてきた証である。
80年前に作られたビンテージハーレー、今のバイクとは操作方法もかなり違うようだ。足でクラッチを切ってそれからミッションを入れるらしい。ハンドルの左下にシフトレバーが付いている。ニュートラルからロー・セカンド・ハイと、3段階に切り替えることができるのだ。「車と一緒。少しは不便ですけどこれがまた面白いのよね。手でチェンジするのが」と飯田さんは言う。実はこのシフトレバー、よく見るとローの上にもう一つ「リバース」のレバーが。飯田さんのハーレーはバックもできてしまうのだ。
『極上ライフ おとなの秘密基地』
【放送局】テレビ愛知 2016〜2018年放送(現在はLocipoでアーカイブを視聴可能)
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/himitsukichi/
【You Tube】https://www.youtube.com/watch?v=c7fGG2YYlP0