
三遠がBリーグ中地区連覇でも…新アリーナ問題で揺れる豊橋市 プロスポーツとホームタウンの適切な関係は


プロバスケットボールBリーグで、愛知県豊橋市が本拠地の「三遠ネオフェニックス」が2025年4月23日、中地区優勝を決めました。しかし、「Bプレミア」参入に必要な新アリーナ建設を巡り、長坂尚登市長と市議会側の対立は続いています。 プロスポーツチームとホームタウンとの問題について、ジャーナリストの二宮清純さんに話を聞きました。
■5月8日からの「チャンピオンシップ」へ…2季連続の中地区優勝
23日、三遠ネオフェニックスは「横浜ビー・コルセアーズ」との試合で、序盤にリードを許し、第3クォーターを終えてネオフェニックスが追う展開となりました。 迎えた第4クォーターで、津屋選手の3ポイントシュートなどで点差を詰めて逆転すると、元NBAプレーヤー・ヌワバ選手の豪快なダンクでダメ押し。82対77で中地区優勝を決めました。 これで、5月8日からトーナメント方式で行われる「チャンピオンシップ」への出場権を獲得しました。 大浦颯太選手: 「これは通過点に過ぎないと思うので、まだまだこれに慢心せず、もっともっと上を目指して頑張りたいと思います」
■パブリックビューイング会場に“アリーナ建設反対”の長坂市長も
豊橋市のパブリックビューイング会場では、400人を超えるファンが集まってエールを送りました。歓喜の瞬間が訪れると、ブースターが喜びを爆発させました。

ネオフェニックスのブースターら: 「優勝はすごくうれしかったです。涙が出てきました」 「ありがとう!ウィーアーフェニックス!」 会場には、2026年に発足する「Bプレミア」参入に必要な新アリーナ建設に反対の姿勢の長坂尚登市長の姿もありました。

長坂豊橋市長: 「おめでとうございます!非常に盛り上がっていてよろしいと思いました」
■長坂市長「チームの好調不調と新アリーナは関係ない話」
長坂市長は2024年11月、新アリーナの建設中止を掲げて当選しました。 ネオフェニックス側は、2026年に発足するトップリーグ「Bプレミア」参入に必要なため、新アリーナ建設を要望していますが、長坂市長は反対の姿勢を崩さず、建設の契約解除に反対する市議会側とは対立しています。

長坂市長は、「契約解除は市議会の議決が必要」とする条例改正の取り消しを求め、名古屋地裁に提訴するなど、事態は長期戦の様相となっています。

三遠ネオフェニックスの試合前の23日午後に開かれた会見では、「チームの好調・不調と新アリーナの話は関係ない話だと考えております」と、バッサリです。
■ホームタウンとの問題について二宮清純さん「最終的には民意が大事」
一夜明けた24日、豊橋市役所には優勝を祝う横断幕が掲げられました。

豊橋市民: 「市長が変わって流れが変わるわけで、不満はありますよね」 別の豊橋市民: 「あそこまでいったら(アリーナを)つくった方がいいんじゃないかなと思うんですけど。最初はすごくもめていて選挙があったじゃないですか、市長さんもそれでやっているから難しいんですけど、停滞しているのはよくない」 チームは地区優勝で波に乗る中、新アリーナ計画が中止になれば、ネオフェニックスのトップリーグ参入に暗雲も…。 プロスポーツチームとホームタウンとの問題について、スポーツジャーナリストの二宮清純さんに話を聞きました。

二宮清純さん: 「Bリーグの中では『地域・社会にとって価値のあるクラブを作ろう』と目指しているわけです。その拠点としてアリーナが不可欠なんだと。スポーツによって町が活性化すること、場合によってはアリーナが災害対応、避難所にもなるとか。そういうことを丁寧に説明することによって、理解を得た例もあります。逆に言えば、理解を得られないケースもありますから、最終的には民意というのが一番大事ですから」