高級車に高級肉…「貴族のような印象」 美容専門学校の親会社巡る巨額詐欺事件、幹部の内情を関係者が証言
去年、突然閉校した愛知県小牧市の美容専門学校の親会社を巡る巨額融資詐欺事件で、逮捕された携帯電話販売会社の元社長らを知る子会社の元幹部が、当時の様子を語りました。
警察によりますと、携帯電話販売会社「アミックテレコム」の元社長、青木隆幸容疑者(68)と元専務、戸田直樹容疑者(50)ら男3人は、2022年から翌年にかけて、虚偽の決算報告書を銀行に提出するなどして、融資金計1億9000万円をだまし取った疑いが持たれています。
警察は、3人の認否を明らかにしていません。
「アミックテレコム」は2017年に美容院を展開する「フィフティセブン」を買収しましたが、資金繰りが悪化し、2023年に2社とも倒産しました。
2社が出資していた小牧市の愛知中央美容専門学校も去年5月に閉校。生徒80人余りが在籍していましたが、退学や転校など大きな影響を受けました。
青木容疑者ら「羽振りが良さそうだった」
子会社の「フィフティセブン」で15年以上勤務した元幹部は、青木容疑者らを「羽振りが良さそうだった」と話します。
「アミックテレコムの幹部たちは貴族のような印象があった。青木容疑者は持っている車が高級車で、1000万円はするだろうって感じでした。戸田容疑者に僕と幹部2~3人が焼き肉に連れて行ってもらったとき、お肉が100gで1万何千円のシャトーブリアンが出てきて、その日は特別だと思うが、そういう所によく行っていたと聞いていました。携帯販売店って儲かるんだという印象です」(青木容疑者らを知る子会社の元幹部)
買収により青木容疑者らのアミックテレコムが親会社になったことで、美容院の経営方針が変わっていったといいます。
「お金とか売り上げをすごく見られるというか、買収後は特に決算になる度にヘアカラーの回数券を売らされたり、ボーナスが次の月に遅れたりとか、そういったこともあったので、もしかしたらお金に困っているのかなという感じはしました」(青木容疑者らを知る子会社の元幹部)
指名料が500円だったところを2000円にするなど、メニューの急激な値上げもあったといいます。
最後の月の給料は未払いのまま…
また、親会社「アミックテレコム」と子会社「フィフティセブン」が倒産することを知らされたのは突然でした。
青木容疑者の代理人弁護士が破産の手続き開始を従業員に説明する文書の日付は、2023年8月28日。その3日後の8月31日をもって、従業員を会社都合で解雇するというものでした。
「最後の月の給料が未払いなんですよ。説明の時に青木容疑者が『断腸の思いで』と言っていたが、最初からお金の工面をするために会社を買収したとしたら、もう本当に許せない」(青木容疑者らを知る子会社の元幹部)
その後の捜査関係者への取材で、逮捕された戸田容疑者と元財務本部長だった荒井淳一容疑者(49)は、任意の取り調べの際、粉飾決算を認め「青木容疑者の指示だった」と話していたことがわかりました。
一方で、青木容疑者は、債権者の集会で戸田容疑者らが勝手に行っていたと説明していたということです。
警察は、不正に融資を受けた額が数十億円に上るとみて、3人の共謀関係などについて詳しく捜査しています。