【解説】郵便料金の値上げ 通常はがき63円→85円に値上げ 物流コスト上昇や利用数減少が原因か
10月1日から、定形郵便物やはがきの料金が大幅に引き上げられました。この値上げは消費税の引き上げを除けば30年ぶり。物流コストの上昇や郵便利用数の減少が主な理由とされています。郵便料金値上げの影響とその背景について詳しくみていきます。
値上げの理由と背景
一般的に利用されている定形郵便物は、これまでは25グラム以下で84円、50グラム以下で94円でした。しかしどちらも110円に引き上げられ、通常はがきの料金も63円から85円に値上げしました。書類やカタログなど薄いものを送るレターパックについては、ライトは370円から430円、プラスは520円から600円に値上げ。この値上げは消費税の引き上げを除けば30年ぶりといいます。
日本郵便は値上げの理由について郵便の利用数の減少のほか、人件費やガソリン代といった物流コストの上昇による営業費用の増加が見込まれるためとしています。
年賀状の発行部数はピーク時の4分の1以下
この値上げの影響が心配されるのが年賀状です。年賀状の発行枚数は、2003年の約44億6000万枚をピークにその後は減少傾向。また、来年用の年賀はがきの当初発行枚数は10億7000万枚で、ピーク時の4分の1以下になっています。
年賀状の印刷事業などを行っている会社フタバに話を聞いたところ、「受注が始まったばかりで見通しを立てるのは難しいが、印刷の予定枚数に変更はない。ただ、今回の郵便料金の値上げを受けて買い手の需要が印刷枚数に追いつくかどうかは心配。今後の注文数を注視したい」と話していました。
では、年賀状を送る人はどうとらえているのか? 9月に行われたアンケート調査の結果を見ると、「今年年賀状を出しますか?」という問いには77.8%が「出す」と回答。また、年賀状を出すと答えた人に枚数の増減を聞いたところ「あまり変わらない」が61%「やや減りそう」が32.5%でした。
年賀状アプリでオリジナル年賀状を制作
フタバの担当者は、早割の利用を勧めています。例えばフタバでは11月30日までに年賀状を注文すると、年賀状の印刷料金が半額になります。また、他の印刷業者も年賀状を多くの方に手に取ってもらえるよう、商品の魅力化に力を入れています。「つむぐ年賀2025」という年賀状アプリ。自分でデザインを考えてオリジナルの年賀状を作ることができます。
機能の1つで二次元コードをつけることができ、これを携帯カメラで読み込むとメッセージ動画が再生されるんです。
また、日本郵便は新たな年賀状「POST&GIFT」を11月に発売します。はがきに載っているQRコードを読み込むと、ウェブサイトから贈答品やデジタルギフトなど好きなものを選べるんです。年賀状を出す人が少なくなりつつある今だからこそ、気持ちがより伝わる紙の年賀状を送ってみてはいかがでしょう。