中部発 家庭の廃油が“空飛ぶ燃料”に 貨物機として初の「SAF」でロサンゼルスへ 中部空港と愛知県内6自治体が連携

中部空港で23日、未来に向けた大切な取り組みが始まりました。地球環境に優しい、ある「航空燃料」を使った飛行機が初めて飛び立ちました。
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午前5時過ぎの愛知・常滑市の中部空港。到着したばかりの貨物機にトラックからホースが差し込まれていきます。一体、何が行われているかというと…
(平野菫記者)
「こちらの航空機では、家庭などで使われた油をもとにして作られた“燃料”が給油されています」
実は、23日に給油された燃料には、愛知県内の家庭などで使用した食用油をリサイクルして作られたクリーンな燃料、SAF(サフ)が含まれているのです。
「SAFが航空業界の“脱炭素”の鍵を握る」
SAF(サフ・「Sustainable Aviation Fuel」の頭文字)とは、食用油など原油以外を使って作られた持続可能な航空燃料のこと。二酸化炭素の排出量削減につながるとして、ヨーロッパなどですでに使用が広がっています。
しかし日本での使用はまだわずかで、23日、中部空港では初めて国産のSAFを混合したジェット燃料が貨物機に給油され、記念の式典が開かれました。
(中部空港 犬塚力社長)
「鍵を握っているのがSAF。SAFの普及が航空業界の脱炭素の鍵を握っている」
(愛知・大村秀章知事)
「セントレアにとっても愛知県にとっても、持続可能な未来を作る大きな一歩」
今回、ロサンゼルス行きの貨物機の燃料として使われたSAFには、愛知県東浦町、知多市、常滑市などの市民が提供した使用済み食用油が使われています。
去年4月から、中部空港と愛知県内6つの自治体で協力して集められ、大阪のプラントでSAFに生まれ変わりました。
(犬塚力社長)
「いずれはSAFが供給できるかどうかが、選ばれる空港になるか、選ばれる地域になるか、鍵を握っていると思うので、この循環がさらに拡大するよう働きかけていきたい」
二酸化炭素の削減に向け、SAFの生産・活用は世界各国で進んでいますが、日本はその流れに追いついていないと言われています。食用油のリサイクルに市民が参加しやすい仕組み作りが、今後必要になりそうです。