一部区間で廃線の岐路に立つ名鉄広見線 多くの高校生が通学などで利用 沿線自治体と名鉄が議論し来月までに結論へ 岐阜

岐阜県内の一部区間で廃線の岐路に立つ名鉄広見線に関し、きょう新たな動きです。
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開通から100年以上、地元の足として沿線住民の生活を支えてきた名鉄広見線。愛知県犬山市から岐阜県御嵩町までを結んでいますが、そのうち岐阜県の新可児から御嵩までの約7.4キロの区間で廃線が検討されています。
廃線が検討されている区間にある駅の1つ御嵩駅、午前7時には通学に電車を利用している多くの高校生の姿が見られます。
(高校生)
「学校に行く時は毎日(利用している)。このまま残ってほしい」
(保護者)
「(廃線になったら)すごく困る。学校への通学にないと困る」
この区間は、通学などで利用する学生が利用者の半分以上を占めていますが、その一方で…
利用者は減少し毎年2億円の赤字区間に
(利用者)
「1か月に2回、病院に行く(時に使う)」
「日中は(利用者)少ない」
学生が通学や帰宅で利用する時間帯以外は、あまり利用者がいないのが現状です。この区間の利用者の総数は15年ほど前には年間約100万人でしたが、減少傾向が続き2年前に約78万4000人に、2050年度には60万人を下回ると想定されています。
名鉄は、この区間で毎年約2億円の赤字を抱え、15年前からは沿線の御嵩町が7000万円、可児市が3000万円と、合わせて1億円を毎年支援し運行を続けてきました。
今後の選択肢は2つ。1つは名鉄が運行を続けながら自治体が設備維持費を負担する「みなし上下分離方式」での存続。もう1つは廃線しバス路線への転換です。自治体の年間負担額は存続の場合、これまでより8000万円増えて1億8000万円となり、バス路線に転換すると6400万円になります。
存続を求め7000人以上の署名を提出
そんな中、ことし3月に御嵩町では名鉄広見線の存続を求める住民ら7000人以上の署名が町長らに提出されました。町議会で存続を求める請願書を採択するか否かについて議論されましたが賛成議員10人、反対議員1人で請願書は採択されました。
(御嵩町 渡辺幸伸 町長:今月15日)
「鉄道存続を町の目指すべき姿の実現に向けた投資と捉え、鉄道があったからこそ次の目指すべき姿が実現できたという未来を実現していきたい」
町長自ら、名鉄広見線の存続が御嵩町としての方針だと説明しました。
そして、きょう…
「名鉄広見線(新可児~御嵩)の存続を求める決議の採決を行います。本案を原案通り決定することに賛成の方の起立を求めます。起立全員であります」
議会で存続を求める決議を取り、議員全員が存続に賛成しました。
沿線自治体と名鉄が議論し来月までに結論へ
(御嵩町 渡辺幸伸 町長)
「御嶽町が今後、まちづくりを進めていく上で(名鉄広見線は)大事な基軸になる。現時点では御嶽町の思いということになっておりますので、しっかり協議をしながら将来の町づくりについて、大いに議論をしていきたい」
一方、同じく沿線自治体の可児市は「各市町で意思を表明するものではないので現時点でお答えすることはない」としています。自治体の負担を増やしてでも存続を選択するのか、あるいは廃線してバス路線への転換か。今後、沿線自治体と名鉄が議論し、来月までに結論を出す予定です。