水道水は大丈夫?水源地で発がん性指摘の「PFAS」検出 活性炭備えた施設で減少…住民には不信感も「ここまで高いとは思っていなかった」
2023年、岐阜県各務原市では市民の約半数に水道水を供給する三井水源地で、発がん性の疑いが指摘される「PFAS」が国の暫定目標値を上回る濃度で検出されました。
その後、対策は進んだのでしょうか?現状を取材しました。
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(各務原市 水道部 清水卓也 課長)
「おととし10月以降、PFAS低減対策の設備が整い、それを稼働することにより、暫定目標値の50は一度も超えていない。活性炭の吸着が成功」
各務原市は、2023年10月からPFASを取り除く活性炭を備えた施設を仮設。これによって、検出されていたPFASは1リットルあたり99ナノグラムから20ナノグラムほどに減少しています。
今、各務原市では元々他の化学物質をろ過するために使っていた装置をPFASの除去に利用していますが、2027年3月末までに国内初となるPFAS処理施設を作り、運用を始める予定です。
(各務原市 水道部 遠藤徹さん)
「(Q:新しくできるのはどんな施設?)新たな『ろ材』で性能の高いものを選定。予定では『イオン交換樹脂』という『ろ材』。(Q:活性炭よりもPFASを効率よく吸着?)除去性能が高く寿命が長い」
「イオン交換樹脂」を交換する頻度は3年に1度。コスト的にもメリットがあるといいますが。
(各務原市 水道部 遠藤徹さん)
「(Q:新施設の建設費は?)初期費用で約17億円」
国の暫定目標値の16倍の数値を検出した場所も
三井水源地から供給される水道水のPFASの数値は国の暫定目標値を下回っていましたが…。
去年12月、三井水源地から500メートルほど離れた航空自衛隊岐阜基地の井戸2か所から、国の暫定目標値の約1.4倍にあたる数値が確認されました。
PFAS汚染に関する啓発活動を行っている、各務原市に住む小川麻実さんは…。
(岐阜・各務原市に住む 小川麻実さん)
「(Q:基地周辺は濃度が高い?)高い。桁が違う、800ナノグラム/リットル。(国の暫定目標値は50ナノグラムだから)16倍」
小川さんは基地から通じている水路でくんだ水を京都大学に提供し調べてもらっています。
調査の結果、去年8月に測定したPFASの数値は水路の手前では約600ナノグラムですが、より自衛隊の基地に近い水路の奥は800ナノグラムを超えました。
(岐阜・各務原市に住む 小川麻実さん)
「ここまで高いとは思っていなかった。一番最初に測った2023年から、どんどん数値が上がっている。ちょっと想像していなかった」
各務原市内の水道水のPFAS汚染は改善されていますが、小川さんの自宅では浄水器などは使ったまま。
(岐阜・各務原市に住む 小川麻実さん)
「PFASは自分が知れば知るほど、まだ分からないことが多い物質。余分な化学物質は避けたい」
浄水場からPFASが国の暫定目標値の28倍という高い濃度でPFASが検出された岡山県吉備中央町では、町が公費で住民の血液検査を実施。
一方、各務原市では、これまで2度、血液検査が行われましたが、いずれも市民団体が実施したものでした。
小川さんは、これまでの市の対応に対する不信感をあらわにします。
(岐阜・各務原市に住む 小川麻実さん)
「子どもから大人まで、いろんな方が水を使っているので。住民の健康を守るという観点であれば、公費負担はしてほしい」