
価格高騰が続き新米が売れない 古米や“訳あり米”の需要が高まり倉庫には新米が山積み…「売り先探さないと厳しい」

米の価格高騰が続いています。11月19日、愛知県岡崎市の米店「渡辺米穀店」を訪ねました。
【写真を見る】価格高騰が続き新米が売れない 古米や“訳あり米”の需要が高まり倉庫には新米が山積み…「売り先探さないと厳しい」
(大石邦彦アンカーマン)
「看板に新米・富山県産10キロ6300円と書かれています。新米にしては安いですが、どういうことなんでしょうか」
(渡辺米穀店 渡邊正明さん)
Q.富山県産10キロ6300円…なぜ安いのか?
「高温障害が出ているのと粒がそろっていない」
夏の高温障害の影響で白くて粒が小さい米を、10キロ6300円で販売しているのです。店主の渡辺さんによると、水を多めにして炊けば味に問題はないといいます。
新米が高すぎる…安くなる?
この訳あり激安米を購入した人は…
(訳あり米を購入)
「息子が消防士でコメをたくさん食べるので。(新米は)ちょっと高いなと」
(渡邊さん)
Q.新米は高い?
「高過ぎると思います。これで主食は高過ぎる」
他にも店頭には新米がズラリ…
(大石)
「新潟産コシヒカリ1キロで990円」
(渡邊さん)
Q.一番安いときはいくら?
「700円くらい」
ことしの新米は、去年に比べて軒並み価格が高騰。ゆめぴりかは去年1キロ750円がことしは920円。七夕コシヒカリは去年1キロ580円が、ことしは880円に。
(渡邊さん)
Q.もっと安くはならない?
「農家からの買い取り価格(概算金)が、令和6年産に比べて5割くらい上がっている。どんと下げられるかっていうと、なかなか難しい」
倉庫に山積みのコメ…売り先探さないと厳しい
価格高騰が続く新米に、消費者も手を出しづらい状況ですが…
(渡邊さん)
Q.奥に並んでいるコメは?
「令和6年産の古米」
Q.通常この時期に店頭に並べる?
「例年は新米が入ってきたら倉庫にしまってしまう。すごい味が落ちているとかではないので、安い古米でいいという人がいる」
古米や訳あり激安米に客の手が伸びるということで、倉庫にお邪魔すると…
(渡邊さん)
Q.倉庫がこれだけいっぱいになるのは初めて?
「自分も初めて、こんなに積んだの。入りきらなくて(別で)倉庫も借りた」
政府が増産を進めコメの収量が増えたことに加えて、価格高騰で新米の売れていくスピードは非常に鈍く、経験したことがない事態に陥った渡邊さん…
(渡邊さん)
Q.売れなかったら大変では?
「売り先を探していかないといけない。回転させる資金的になかなか厳しい状況」
コメを農家も「ちょっと高いかな…」
では、コメの価格が下がらない現状を、安城市の農家にも聞きました。
(農家・稲垣巨樹さん)
Q.コメの収獲は終わった?
「(コメの)収獲は終わって、麦がまいてある状態」
同じ農地でコメ・麦・大豆を育てる“二年三作”を行っている稲垣さん。今年は、例年より多い約180トンのコメを収穫しました。
(稲垣さん)
Q.新米があまり売れていないが?
「新米はおいしいので、皆さんに食べてもらいたいですね」
稲垣さんによると、ことしのJAの概算金はコシヒカリ一等米で2万8500円。去年の1万8000円から、1万円以上上がっています。
(稲垣さん)
Q.概算金が上がって農家としては助かっている?
「売り上げも上がっているので、機械更新とかできるようになってくる」
Q.農家としては嬉しいけど…?
「ちょっと高いかな。作ったものが売れなかったら需要がない。需要に応じた価格もある程度必要」
小泉前大臣「増産」→鈴木大臣「需要に応じた生産」
そして、新たに就任した鈴木農水大臣の舵取りについて伺うと…
(稲垣さん)
「現場としては最初、小泉前大臣が増産と言っていったので、来年は増産していこうと決めたところに『需要に応じた生産』ということになって、今まで通りの生産に戻さなくてはいけない。現場はバタバタしている」
稲垣さんの田んぼでは、例年ならコメの収穫後に麦をまくところを、政府の増産要請を受けて、全体の5%の田んぼでは稲の連作に変更。そんな中での、鈴木大臣による方針転換の発表だったのです。
(稲垣さん)
Q.農政の方針転換については?
「代わった時期が時期なので、仕方がないのかなと思う。自分にとって響いたのは(鈴木大臣が)『5年・10年先を見据えた農政を考える』。すごく心強い」
稲垣さんは、今回は確かに振り回されはしたものの、未来の農業を考えた政策に、大いに期待したいと話しました。





