
七夕の短冊につづった願いは…女子レスリングのウクライナ代表が至学館大学で合同合宿「今この瞬間も心配」


ロシアの軍事侵攻が続くウクライナから、女子レスリング代表の選手たちが愛知県大府市の至学館大学に身を寄せています。母国の厳しい状況の中、平和への願いを胸に練習に励んでいます。
■死亡したアスリートは600人あまり…学生に伝えたこと
レスリングの名門、大府市の至学館大学で稽古に励むのは、パリオリンピック銀メダリスト、イリーナ・コリャデンコ選手(62キロ級)ら、女子レスリング・ウクライナ代表の選手たちです。

母国ではロシアによる侵攻が続き、安全に練習ができない彼女たちを、2025年6月末から合同合宿という形で受け入れています。 7月7日、イリーナ選手とヨーロッパチャンピオンのオクサナ・リヴァチ選手(50キロ級)らが特別授業を開き、母国の現状を語りました。 イリーナ・コリャデンコ選手: 「爆弾が落ちてくるとこのようになる。これが今の街の姿です」 オクサナ・リヴァチ選手: 「ロシアによりたくさんの民間の建物や、スポーツ施設が破壊されています」

侵攻開始から3年、今もミサイルが飛び交う日々。破壊されたスポーツ施設は740カ所以上、亡くなったアスリートは600人あまりです。

イリーナ・コリャデンコ選手: 「ウクライナは冬が厳しくて、-20℃まで下がる時もある。暖房できず、劣悪な環境で練習しなくてはいけない。つらいのは、この瞬間も大事な人が生きているか、自分の家族など心配し続けないといけないこと」 至学館大学の学生ら: 「戦争をしてもいいことないなって改めて感じた」 「つらい状況の中でもスポーツをするというのは、スポーツマンとして尊敬するべきだなと思いました」 「今こうやって生活できているのが当たり前じゃないんだなと思いました」
■七夕の短冊に綴った願い
授業の後は、選手たちは附属幼稚園の園児らとふれあい、笑顔を見せました。7月7日の七夕に、短冊に願いを綴りました。

オクサナ・リヴァチ選手: 「(Q.短冊に書いた願いは?)世界の平和と家族の健康」 ヨーロッパチャンピオンのオクサナ選手には、もう1つの願いがありました。 オクサナ・リヴァチ選手: 「吉元玲美那選手はとても良い選手。世界選手権の決勝戦で戦えるといいな」 スパーリング相手の吉元玲美那選手は、世界選手権で優勝もしている50キロ級のライバルです。困難を乗り越えて、世界の舞台で戦う日を楽しみにしています。

ウクライナの選手たちは7月13日まで滞在し、その後は世界各国で受け入れ先を探しながら、9月の世界選手権に挑みます。