培ってきた経験と技を注ぎ込む!半世紀前の『ヘリコプタープラモデル』に挑戦!後編
車やプラモデル、カメラなど、趣味の世界を楽しむ大人たちに密着してその魅力を調査する『極上ライフ おとなの秘密基地』。2016年~2018年までテレビ愛知で放送され、現在はLocipoでアーカイブを見ることができる。
今回の秘密基地の主は、飛行機プラモデル歴50年以上の岐阜県在住の男性。凄腕モデラーが挑むのは、50年以上前に発売されたヘリコプタープラモデル。悪戦苦闘しながらも挑み続ける姿を紹介する。
前編はこちら
ヘリコプターの揚力を生み出す羽の接続部分“ローター”の構造も機種によって様々ある。そのため、ローターをいかに精密に作るかがマニアの腕の見せ所。
例えば、実用としては世界最大級のヘリコプター「CH−53 シースタリオン」ローターを見てみると、配線などを細かく施し、かなり精密に作り込まれている。
そしてアメリカ海軍の艦載機 「SHー3 シーキング」は、船の格納庫にしまえるように、羽根を折りたたむことができるのが特徴で、中村さんはそれを再現している。
今回挑んでいるハスキーのキットにはあらかじめギアがついていて、手で回せるようになっている。しかし年代もののキットだけに一筋縄ではいかないようだ。
「ぶつかっちゃうんやて」と中村さん。そのまま組み立てると羽根がぶつかってうまく回らない。設計した時は当たらないはずだが、長年の変化や材質の問題などのいろんな関係で狂ってくるのだそうだ。
そこでぶつかる部分をカットし、ヤスリで削り微調整していく。「音がするのは当たっているということなので少しずつ削る。少し滑らかに回るようになった」ローターが、スムーズに回るようになった。
しかし今回の仕掛けはここからが本番。「手で回すだけじゃおもしろくないので、モーターで電動で回したい思う」と中村さんは言う。この狭い胴体部分に、モーターや低速ギア、ゴムジョイントをギュッと詰め込んでスイッチを入れると、モーターとつながっている低速ギアが黒いゴムジョイントを回転させる仕組みに。さらにキットの回転軸も改良する。
「真ちゅう軸でゴムジョイントにピチっと食いつくようにした」とのこと。真ちゅうのほうがキットに付いているプラスチックの軸より滑らかに回るのだそう。
軸と胴体を接続していよいよ試運転。「うまくいくといいんだけど」と不安そう。複雑な構造をもつハスキーの羽根は、ちゃんと回っているように見えるが、この「カチカチ」という音はどこかがぶつかっている証拠。「カチカチの音を無くさないと、完成しない。やっぱり全部組み上げると、なかなかうまくいかない」と中村さんは再び調整をし始める。
軸の位置を上げ下げしながらぶつかっているところを探るが、まだ消えない「カチカチ」と当たる音。「やっぱり何かおかしい。ちょっと頭に煮詰まってきた。原因はなんだろう」と、格闘すること1時間。羽根の付け根部分の微妙な角度に気づいた中村さん。微調整すると、ぶつからずに回るようになった。
「これで塗装すると、すごくいい感じになると思う」と嬉しそうな中村さん。
2週間後、塗装を終えたとの知らせを聞いて秘密基地を訪れると、ハスキーがかっこよくなっていた。「プラモデルの醍醐味ですね。塗装する前とした後では全然雰囲気が違うから」と満足気。
1か月以上の時間をかけて作り上げたレスキューヘリコプター「ハスキー」。人形ものせて、レスキューに向かうリアルな様子を表現する。
レスキューヘリコプターならではのシーンを作るために、左の人形が少し不思議な乗り方をしている。中村さんが取り出したのは、透明なアクリルの板と棒。その板の角に棒をつけて、そこにハスキーを乗せ、さらに人形をぶら下げることでヘリコプターが浮いている状況を再現したかったのだそう。
中村さんの手によって長い眠りから覚めた、半世紀前のプラモデル。逆方向に回転する2枚の羽根が、ぶつかることなく見事に交差している。作りこんだ操縦席には LEDを仕込み、夜間飛行を演出した。そして展示にも一工夫し、人形を巧みに使い緊迫したレスキュー現場を再現されている。
「いろいろ難しいところあったが、チャレンジのしがいがあった。それが楽しみでプラモデル作っている。あと100個ぐらいは作りたいなぁという漠然とした大きな目標があるけど、できるかな」と中村さんは楽しそうに語る。
『極上ライフ おとなの秘密基地』
【放送局】テレビ愛知 2016〜2018年放送(現在はLocipoでアーカイブを視聴可能)
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/himitsukichi/
【You Tube】https://www.youtube.com/watch?v=YYTr0SpZ3FU&t=1s