絵を描くように配置する。手のひらサイズの「ミニ盆栽」の醍醐味とは?
車やプラモデル、カメラなど、趣味の世界を楽しむ大人たちに密着してその魅力を調査する『極上ライフ おとなの秘密基地』。2016年~2018年までテレビ愛知で放送され、現在はLocipoでアーカイブを見ることができる。
今回の放送で取り上げるのは、盆栽の中でも、小さな作品を何点か取り合わせて楽しむミニ盆栽。庭にある鉢は1000を超えているという、三重県四日市市の溝口明仁さんを紹介する。
秘密基地の主である、溝口さんの庭一面には植木があり、全て盆栽。それまでの家では盆栽を置く場所がなくなり、10年以上前に現在の家を買ったんだとか。「南向きで庭がついているところじゃないと盆栽置けないので」と語る。
ミニ盆栽で使う木の高さは、10センチたらず。その小ささも魅力だがそれだけではない。
さまざまな種類の木の盆栽を組み合わせ、飾って楽しむのだ。
基本になるのは三点飾り。飾りのメインになる鉢「主木」、この主木に向き合うように「受け」と呼ばれる鉢を置く。さらに、より主木を大きく見せるために、この小さい草を置くのだ。
主木からその流れを受け、小さな鉢でアクセントをつけることで、バランス良く収まる。ところが反対向きの鉢に変えてみると、受けと主木が同じ方向を向いてしまい、バランスが崩れる。「同じ樹種で大きさも同じくらいだけれども、明らかに何か不安定って感じがする。やっぱり最初の方が安定している」と溝口さんは話す。
鉢の数を増やして飾ろうとすると、その組み合わせはさらに複雑になってくる。この時、同じ種類の木を使わないのがミニ盆栽のルール。
「一つでは飾れないので、やっぱり種類が必要になってくる」と溝口さん。自分だけのレイアウトを作り出そうと、溝口さんが育てているミニ盆栽はおよそ70種類。庭の鉢は1000を超えているので、毎日の水やりだけでも大変。
「1泊ぐらいの外出だったらまぁなんとかなるが、できるだけ急いで帰ってきて水やりしないと。大変だけどやめられない」溝口さんの盆栽愛が伝わる。
レイアウトを楽しむためには木の種類だけでなく、形のバリエーションも大切なポイント。曲がりくねった枝を、ある技で作り上げる。「よくこんなに曲げるなっていうふうに言われるが、これぐらいだったらまだ曲がるんで、このタイミングで“曲づけ”をしたい」と溝口さんは言う。
“曲づけ”とは、まだ柔らかい若木の枝を針金を使って曲げ、小さく形を整える盆栽の技。木をコンパクトにするとかわいいので、曲げられるうちに曲げてしまう。若いうちに“しつけ”をするそうだ。
「木にとってはだいぶ負担がかかるので、一か八かなところも確かにある。ミスって、よくポキッと折っちゃって。ただもうこの生きるか死ぬか、って言うところじゃないと良いものができない」と溝口さん。
ペンチを使って大胆に曲げていく。甘い曲づけだとあまり良いのはできず、極端につけてこそミニ盆栽だそう。
曲げる前と比較してみると、木の高さもかなりコンパクトになったことがわかる。力の加減や、曲げる方向を間違えると折れてしまう、ギリギリのところで針金を巻いていく。
完成形に成長するまであと数年かかるのだ。
『極上ライフ おとなの秘密基地』
【放送局】テレビ愛知 2016〜2018年放送(現在はLocipoでアーカイブを視聴可能)
【番組HP】https://tv-aichi.co.jp/himitsukichi/
【You Tube】https://www.youtube.com/watch?v=SH09HdzAE58