トランプ関税の迷走・・・東海地方の企業の対策は? 岐阜・関の刃物メーカーではすでに影響も「変化が一つのチャンス」 愛知・豊田の抹茶は輸入急ぐ

迷走が続くトランプ関税。すでに東海地方の企業にも影響が出始めています。

15日朝、岐阜県関市の刃物メーカー「三星刃物」。

会議室で社長の渡辺隆久さんを待っていたのは、アメリカから来た40年来の取引先の社長らです。
今回は、商談に来たということですが、まず、話題に上がったのはやはりこの問題。
三星刃物 渡辺隆久社長:
「トランプ関税による影響はどう感じていますか」
アメリカ企業:
「ここ半年私たちのビジネスはよかったけど、相互関税問題が出てきた。なんとか対応しなければいけない」

商談に来たのはアメリカ・コロラド州にあるナイフの製造・販売を行う会社。
関市の会社からは、アウトドア用のポケットナイフなどを仕入れていますが、トランプ関税への対応については。
アメリカ企業:
「まだ対応は決めていません。大統領がまさにいま交渉中なので(相互関税の措置は)90日間停止するということだし、私たちはまだ何もせずに静観している状況です」

一方、静観しているのは、日本側も同じだといいます。
三星刃物 渡辺社長:
「一喜一憂しても、きょう言ったことがあす変わっちゃうので、あまり振り回されるんじゃなくてやってきたことを粛々とやるというか」
発動からすぐに一時停止が表明されるなど、二転三転する「相互関税」。トランプ氏の発言によってコロコロ変わる状況の中で、まずは様子を見ているしかないといいます。
一方で、もうすでに始まっている一律10%の関税を受け、変化も出てきています。
三星刃物 渡辺社長:
「(アメリカの)お客さまの中からは値引き要求ではなく『アメリカで小売単価を上げますよ』という連絡がきているので『今の船積みを止めずに日本から出荷して』とアメリカのお客さんからきている」

アメリカへの輸出額が年間5億円以上の三星刃物。現在、最も懸念しているのは。
三星刃物 渡辺社長:
「中国とアメリカとの貿易戦争があると、世界全体の景気が悪くなったり、個人消費が落ちちゃうと全体的な売り上げが落ちてくる」
報復関税の応酬が続くアメリカと中国。15日、商談に訪れたアメリカ企業は今後、中国からの輸入を減らし、日本などでの調達を増やしていく考えだといいます。
三星刃物 渡辺社長:
「(刃物)業界全体に関して(変化が)一つのチャンスなので地域ブランドを高めていこうという流れ、風を起こすことができたらと」
アメリカへの輸出で頭を悩ませている名産品は他にも

愛知県豊田市のお茶農家「いしかわ製茶」では、海外への輸出が増えており、そのうちの1割がアメリカだといいます。

いしかわ製茶石川龍樹さん:
「関税のせいで買い控えがあると、せっかくいいお茶を作っても買ってもらえないことにならないか非常に心配しています」

農家にとっては急転直下の“トランプ関税”。それは、アメリカの輸入先の企業も同じです。
WorldMatcha 塚田志乃さん:
「乱暴だなという気がします。アメリカで抹茶のニーズがすごく強い市場があるので、人気の商品で求められているものに今育ってきている」
「相互関税」が90日間停止となる中、早くも動きだしていることがあります。
WorldMatcha 塚田さん:
「(今の期間は)10%はかかってきますが (関税)10%の間にアメリカへ送れるものは送っておきたい。私たちが今できること」

関税が10%のうちにできるだけ日本から抹茶の茶葉を輸入するということですが、問題なのは、中国で製造しているマシンの方だといいます。
WorldMatcha 塚田さん:
「(マシンの)工場自体が中国の深圳にあるので、まさに中国の工場からの出荷になるので考えていかないといけない。頭が痛いところです」
今後は、アメリカのカフェなどに向けて業務用のマシンを新たに販売予定で、関税分の価格の見直しも検討しているといいます。
“トランプ関税”業績に「マイナス」

トランプ関税で特に影響を受けるといわれているのが、自動車産業です。
東海3県の企業に行ったアンケートでは、相互関税について「マイナス」と答えた企業は63.2%。全国集計が52.3%だったので10ポイント以上高く、東海地方の影響の大きさが浮き彫りになっています。
【中京テレビ 「キャッチ!」 4月15日放送より】