備蓄米の毎月放出で高騰続くコメ 識者「5キロあたり3500円くらいに下がるのでは」カギは市場の安心感

価格の高騰に歯止めがかからない「コメ」。政府は「備蓄米」を放出していますが、依然高いままです。農林水産省によると、3月24日~30日の1週間に全国のスーパーで2倍以上。13週連続で値上げ販売されたコメの平均価格は、前の週より10円上がって4206円でした。13週連続の値上がりとなり、2024年の同じ時期の2倍以上となっています。
政府は備蓄米の追加の放出も決めましたが、本当に備蓄米でコメの価格は下がるのか調べました。
2024年同時期の2倍以上の価格に

備蓄米は3月に2回放出されていて、1回目の落札分が4月上旬から全国のスーパーに並び始めています。にもかかわらず、なぜ高騰が続いているのでしょうか。日本国際学園大学の荒幡克己教授によると、大きく2つの理由が挙げられるといいます。
高騰続く原因に「不安感」と「時間差」

1つ目が「不安感」。備蓄米が放出されてもまだ流通業界にはコメが足りないという不安感があり、在庫を多めに持っている状態が解消されていないんです。
そして2つ目は効果の反映に時間差があること。すでにスーパーや卸売業者は高値で仕入れてしまっていて、備蓄米は一部を置き換える形になっています。そのため価格に効果が表れるのは、4月下旬からゴールデンウイーク明けになるのではないかと話しています。

実は小売店の大小により供給に差があるのではという声があります。そこで愛知県のスーパーの現状を調べました。大手スーパーマーケットの担当者は「今日はないが、先週(4月1週目)は置いていた」と話していて、少しずつ出回るようにはなっているようです。
一方で、中小スーパーの生鮮食品館サノヤの担当者に話を聞くと、「サノヤの仕入れ業者には入ってこないみたいで、品薄は解消されていない。断定はできないが卸売業者によると外食産業を優先しているという話もある」とのこと。いまのところ備蓄米が入ってくる見込みはないそうです。

荒幡教授によると“メインルート”から流通が始まっているといいます。メインルートとは、大手の集荷業者が落札し、その集荷業者と取引のある大手卸売業者へ。その卸売業者と取引のある大手小売店・飲食店へ、といった流通経路のことです。
そのため中小スーパーは、取引のある卸売業者が備蓄米を落札した集荷業者と取引がない限り、供給されないのが現状です。
コメの品薄感を解消することが大切

対策として政府は、7月まで毎月備蓄米の売り渡しを行うことを決めました。入札は4月21日の週に行われます。(対象:10万トン)備蓄米が毎月放出されることにより、荒幡教授は「市場にコメがあるという安心感が出てくれば、5キログラムあたり3500円くらいに下がってくるのではないか」と話していました。