
高市新内閣が発足 物価高・消費税… 政治ジャーナリスト青山和弘さんが解説

高市新内閣が発足し、私たちの生活はどう変わるのでしょうか。政治ジャーナリストの青山和弘さんが、内閣の顔ぶれから見える高市氏の狙いについて解説しました。

Q.高市新内閣の顔ぶれを見て、一言で言うと
「一言で言うと、『目玉すくない閣』と命名させてもらいました。高市氏は、かなりエッジが立った保守の論客として知られていました。なので、自民党の執行部人事はかなり極端な人事、よく言えば“高市カラー”が出た人事をしたと私は評価していた」
「一方で、この閣僚人事はどうだったかというと、もちろん“高市カラー”がないとは言いませんし、随所で出ている部分もあるんですが、入閣待望組も入れて結構バランスも取った人事になっている。だから、目玉はなくはないけれども、割と普通の人事をしたなという印象です」
Q.カラーよりも安定性を取ったということでしょうか
「そうですね、安定性とか割と常識、今までの自民党人事に習った部分もあるというところかと思いますね」
青山さんが見た“高市カラー”

Q.しいて言うなら、その“高市カラー”はどんなところに出ているか
「“高市カラー”は、結局女性は2人に留まったんですが、その女性2人が結構目玉と言えるところかと思います。財務大臣の片山氏は、高市氏に近い考えの積極財政派です。財務省の出身者ですが、財務省の中にいたからこそ、そういう積極財政を引っ張っていける可能性がある。ちょっときつい言い方ですが『毒を持って毒を制す』という、片山氏の強烈なキャラクターで高市氏の積極財政を牽引していくという役割だと思います」
「あともう一つ、小野田氏も、保守派の女性論客として知られていて、一つの目玉政策である外国人問題を担当することで、ここにも高市氏のやりたいこととが現れているメッセージ性の強い人事だと思います」
Q.高市氏は、もっと多く女性閣僚をいれるんじゃないかという報道もされてましたが、2人に留まったというのはどうしてか
「それは結局、私もいろいろ取材したが、適した人があまりいなかったというのが現実のようです。大臣にするには身体検査と言って、いろいろ大臣として的確かどうかという検査もします」
「あと高市氏は、ある意味エッジが立った保守の論客だからこそ、自分と考えの違う女性議員も少なくない。そういった人たちを入れて数を増やすよりは、自分に近い人とか、党内のバランスを取る方に力を入れた方がいいという判断になったと思います。例えば考えが違う女性議員としては、稲田朋美氏とか、小渕優子氏とか、そういう人まで入れるというような判断は至らなかったと私は見ています」
Q.女性議員同士の関係性というのも現れたということなんでしょうか
「やはり女性議員同士のライバル争いというのもありますから、そこまでして女性を幅広く取るよりは、少なくても自分の考えに近い人たちを入れて、それ以外のところは男性でも仕方ないという判断になったと私は見ています」
生活はどう変わる?
Q.高市氏がトップになって物価高対策は
「やはり片山財務大臣にしたということもありますし、まずガソリン税の暫定税率を引き下げる、これは間違いなく一丁目一番地としてやってくると思います。さらに補正予算を組んで、何らかの他のエネルギーの高騰対策もそうですし、何らかの物価高対策には急速に着手すると思います」
「ただ一方で、赤字国債に財源を頼ってしまって、インフレを招く可能性、より物価が上がる可能性もある。皆さんのところにお金もいくけど、物価も一緒に上がる可能性もあるので、そのコントロールを小林政長会長もそうですし、片山財務大臣もどのようにできるのか、これが私は大きな焦点になると思います」
Q.消費税に関しては
「消費税の減税に関しては、高市さんのバックにいる麻生さんも元財務大臣として非常に慎重姿勢ですし、これはなかなか時間もかかるし、まだまだ現実性は乏しいとに思います」
Q. 高市内閣になって株価の動きで期待できることは
「株価が上がっているのは、まさに高市氏の積極財政に対する期待感なのは間違いないです。ただ株価が上がるということは、金も上がる、不動産も上がる、物価全体も上がる可能性を秘めている」
「つまり困っている人がゆとりある生活に少しでも近づくのか、それとも全体的に物価が上がって、儲かる人と儲からない人の差が開くのか、ここのハンドリングが非常に難しいと思う。なので、持っている人がより豊かになるだけじゃなくて、持たざる人のところにも富が行き渡る、このような政策を同時にどれだけ打てるのか、これは高市氏にとって大きな焦点になってくると思います」
試される外交手腕
Q.女性初の総理ということで、対外的にもアピールできることは増えてきそうですね。
「外交についてはトランプ大統領が近々やってくるので、高市さんはそこで外交デビューということになります。安倍氏にも近かった高市氏については、トランプ氏も交換するメッセージを出しているので、いい滑り出しができる可能性は十分あると思います」
「ただ、その一方でその後にすぐ韓国に行って、李在明大統領、そして中国の習近平国家主席とも会う可能性がある。中国、韓国は逆に保守的な高市さんに対して警戒感を持っているので、こちらでもどのように関係性を保っていけるのか、もしくは改善していけるのか、ここは高市氏の手腕が早速問われることになると思います」