ランクル最新車種が被害に 犯人グループも車の構造を研究 愛知県警に聞く「盗難の実態」

愛知県では今年、自動車の盗難が去年を上回るペースで増加しています。自宅を不在にする機会も増えるお盆休みにどんな対策が有効なのでしょうか。
8月1日午前3時すぎ。名古屋市内にある中古車販売店の防犯カメラの映像です。画面右側から帽子とマスクで顔を隠した2人が現れ、白い車に近づきます。
助手席側に座り込み、ドアに何かを押し当てています。狙われたのはトヨタのランドクルーザー。作業を続けること、約10分…突然立ち上がると、どこかへ逃げていきました。
残された車の助手席のドアには、大きな穴が空いていました。
「ドアをハサミか何かでちぎられて、中の配線も切られた感じ。未遂に終わってよかったけど、うちの商品なので直さないといけないので20~30万の損害がある」(GーSTYLE ゴンサルベス アンドレ社長)
犯行手口は、CANインベーダーと呼ばれる手法です。車の制御システムに不正にアクセスしてドアロックを解除したり、エンジンを始動させたりします。
配線の場所を変更するなど対策をした最新の車種が…

これまでの車種は、配線が細工しやすい場所にあり、わずか5分程度で盗難される被害が相次いでいました。
しかし、今回、被害に遭った車は、配線の場所を変更するなど対策をした最新の車種でした。
「切って配線をPCにつなげば、ロック解除からエンジンをかけることまでできてしまう。周りにも響いて気づかれるといけないので、ハサミで音を出さずに切っているのが手なれている」(GーSTYLE ゴンサルベス アンドレ社長)
たまたま店の前を通りかかった客が異変に気付き、警察に通報し、盗難は免れました。
「犯人グループも車の構造やセキュリティーを研究している」

愛知県警によると、県内の今年1月~6月末までの自動車盗難件数は639件。
前年の同じ時期と比べると1.5倍にまで増えていて、全国ワーストとなっています。
なぜこれほどまでに自動車の盗難が増えているのでしょうか?
「自動車窃盗組織が悪質巧妙化している。自動車メーカーもセキュリティーを強化しているので盗みづらい。犯人グループも車の構造やセキュリティーを研究したうえで犯行におよぶので、いたちごっこのような状況になってしまっている」(愛知県警 生活安全総務課 山田幸司警部)
複数の防犯対策を

盗難にあわないための対策は…
「メーカーに相談してもらうことで、車のセキュリティーのアップグレード商品を提供していることもある。それにあわせて複数の防犯対策をお願いしている」(山田警部)
対策としては、車へのハンドルロックやタイヤロックの設置のほか、車を盗もうとしたときに音が鳴る警報機や、GPS機器の搭載なども有効だといいます。
お盆休みなど、車を長期間置いて出かける際の注意点は…
「車庫に車を入れていただくことも1つの防犯対策になると思いますし、『海外旅行に行ってるよ』と情報発信してしまうと自宅にいないから車もとりやすいと思われてしまうので、情報発信の点でも気を付けていただきたい」(山田警部)