鳥インフル猛威で卵ゼロ…それでも立ち上がった養鶏農家の壮絶な闘い「供給が増えてくれば値段も落ち着く」

「卵はゼロ 収入的にもゼロだった」
コメ高騰をなんとかしようと政府が動く中、“物価の優等生”卵の値段も気がかりです。
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(杉浦ファーム 杉浦康治代表)
「ここが卵を集める集卵舎。右奥が鶏舎になります」
お邪魔したのは愛知県半田市の「杉浦ファーム」です。黄身の甘味とコクが特徴の卵をこれまで県内のスーパーや直売所などに出荷してきましたが…。
(杉浦代表)
Q.この4か月間卵の数は?
「卵はゼロだった。売り上げ、収入的にもゼロだった」
理由は、年明けから全国的に急拡大した「鳥インフルエンザ」の影響です。愛知県内でも常滑市の養鶏場で鳥インフルエンザが発生したのをはじめ、周辺にある合わせて13の農場で、相次いで感染が確認されました。ことし2月までに殺処分されたニワトリとウズラの数は、県内では過去最多のおよそ187万羽となりました。
「ここに20万羽ほど埋まっている…」
(杉浦代表)
「ここが埋却地になる。ここに20万羽ほど埋まっている」
杉浦ファームでもことし1月19日鳥インフルエンザが発生、約20万羽を殺処分しました。
(杉浦代表)
「スタッフから聞いたときは『まさか』という感じ。ここまで広がるというのはなかなか想定していなかった」
農場が始まって以来の出来事でした。
愛知県では3月中に監視強化も解かれ、やっと収束しましたが、今回の撮影でも防疫対策は徹底。杉浦代表は発生前からこうした対策を「徹底していた」といいますが…。
(杉浦代表)
「感染原因がわからない。野鳥もそうだし、ニワトリのちりほこりも可能性としてあるので防疫対策の限界がある。ワクチンも検討していかないと持続可能は難しいと」
それでも「再建」に向け歩き出しています。
来年3月~4月頃には価格が落ち着くか
(杉浦代表)「ここがヒナの鶏舎で、いま20万羽ほど入っている」
5月末ごろから新たにヒナを仕入れ、ことし中に約20万羽にする予定です。再建にかかる費用はおよそ2億円。その一部は殺処分に伴う損失を補償する国の「手当金」を使います。
そして、7月中旬から卵の出荷は始まり、来年2月から3月ごろには20万羽すべてが卵を産むようになるとみています。
(杉浦代表)
「発生してから大変厳しい長い道のりだった。復旧させてもらえるありがたさ。供給が増えてくれば値段落ち着いてくると思う」
県内で被害が出た13の農場すべてが、再建に向け歩き出しているそうです。
愛知県養鶏協会によると、来年の3月から4月頃には、卵Mサイズ1キロあたりの価格が250円前後に落ち着くのではということです。