「カット野菜」にも値上げの波“サラダクラブ”が創業以来初の値上げ 猛暑や少雨で契約農家の収穫量が減少

名古屋・大須商店街にあるスーパーマーケットのキャベツの店頭価格は215円(4月4日時点)。ピーク時の12月中旬から年明けにかけての539円と比べると半額以下ですが、例年の同時期は1個162円ほどのため50円以上高い状況です。
全国のスーパーマーケットにおける葉物野菜の平均単価のデータを見ると、2024年10月以降、キャベツを筆頭に葉物野菜の価格が急上昇しています。一方、野菜価格の高騰に比例するように“売れるもの”として「カット野菜」があります。販売数の前年比のグラフを見ると、葉物野菜のグラフとほぼ同じ動きをしているんです。
なぜ、カット野菜の価格は変わらない?

カット野菜のメーカーは多くの場合、野菜を全国の契約農家から仕入れています。仕入れの野菜の量と価格は契約のときに決めておきます。そのため市場などからの仕入れと違い、野菜の価格変動の影響は受けず、価格を固定することができるんです。
また仲介業者を挟まないので手数料等がかからず、安く仕入れができるメリットもあります。しかし、2025年にはついにカット野菜も値上げしました。

関東・甲信越地方にカット野菜を出荷している旭物産は、キャベツを使う商品を中心に1月から5~10%値上げしました。また、カット野菜市場でシェア約2割のサラダクラブは3月に、20商品を5~30%値上げしています。
例えば、千切りキャベツは108円から140円に、さまざまな野菜が入っているイタリアンサラダ用は、213円から235円になりました。サラダクラブの値上げは、創業以来初めてだそうです。

価格に踏み切った理由を聞いてみると、「2024年の猛暑や冬の雨が少なかった影響で、契約農家で獲れる野菜が少なくなったこと」といいます。そのため不足した分を市場に流通している野菜で補うことになり、高値で仕入れることになりました。
さらに、国内で流通する野菜だけでは賄えず、国内の野菜よりさらに輸送費用がかさむ海外から輸入することに。結果としてコストが上がり、価格に転嫁せざるを得なくなったのです。
春物野菜の仕入れ安定の見込み、一部商品を値下げへ

メーカーによっては一部の商品で内容量を減らし、価格を据え置いていました。ですが、コストアップを吸収しきれず、量は減らしたまま値上げに踏み切りました。
サラダクラブは今後、春物野菜は安定した仕入れが見込めるとして、5月から一部の商品を値下げする予定です。ただし、野菜は天候や気温の影響を受けるので、慎重に状況を見ながら量や価格を調整していく方針です。