
「不揃いでも売って」地元の声に応えたご当地ラーメンメーカー 廃棄予定の麺が“1袋30円”など生活応援商品に


愛知県豊川市の老舗製粉所「山本製粉」は、地元で長年親しまれてきた即席麺「ポンポコラーメン」の製造元として知られています。その隣にある工場直売所では、製造過程で出る“ワケあり麺”をお得に販売。物価高が続く中、地域の食卓を支える頼もしい存在となっています。
■様々な麺が驚きの安さ…東三河のご当地ラーメンメーカーの直売所
愛知県豊川市にある老舗の製粉会社「山本製粉」。大正5年に創業し、東三河のご当地即席麺「ポンポコラーメン」(6食入り500円)の製造元として長年親しまれてきました。

昭和39年に発売されたこのラーメンは、5食入りが一般的な袋麺の中で1食多い6食入りで、今もなお年間100万食を売り上げる人気商品です。

そんな山本製粉の製麺工場のすぐ隣にある「ポンポコアウトレット本店」では、「ワケあり醤油らぁめん」(10食入り500円)や、毎日40食限定の「ワケあり塩らぁめん」(1袋30円)など、様々な麺が驚きの価格で販売されています。 客: 「安いよね~。ついつい買ってしまう」 別の客: 「めちゃくちゃ有難い。全部が高くなっている中で」

「海外向け和風醤油らぁめん」(10食入り500円)や「ソースやきそば」(10食入り500円)など、約10種類もの麺が並び、まとめ買いする主婦の姿も多く見られます。様々な食品が高騰する中、地域の家庭を支える“物価高の味方”として人気が広がっています。
■規格外でも無駄にしない…廃棄されていた麺を商品化
なぜ、ここまでお値打ちに提供できるのでしょうか。山本製粉では、食べ応えを重視した中太のちぢれ麺を、ゆで時間を短くするため“ほぐし麺”という独自製法で仕上げています。乾燥前に麺を広げて隙間を持たせるため、製造過程で欠けたり、短く切れたりする部分がどうしても出てしまうのです。

山本製粉の担当者: 「稀に欠けてしまった麺が。これだと製品として売れませんので」 本来なら廃棄されていたそれらの“規格外麺”を集め、直売所で格安で販売しています。さらに…。 山本製粉の担当者: 「製造工程で短い麺が出てしまう。捨てていたのですが、商品として開発した」

製造する過程で出る2センチ程度の短い麺だけを集め、90グラムに増量した「スプーンで食べるペペロンチーノ風」(大盛90グラム95円)などの「スプーンで食べる」シリーズも販売しています。
■「不揃いでも売ってほしい」…客の声を受け直売所をスタート
この直売所ができたのは2022年。コロナ禍でスーパーから即席麺が一斉に姿を消した時期、地域の人々から「不揃いでもいいから売ってほしい」と声が寄せられたのが始まりでした。 山本製粉の担当者: 「最初は事務所前で売っていたのですが、お客さんがいっぱい来てくれるようになったので直売所を」

工場の一角にプレハブを建て、本格的に「ポンポコアウトレット本店」をオープン。ラーメンだけでなく、パスタやうどんなど取扱商品も徐々に増やしていきました。現在では、国内向けだけでなく、アメリカ・フランス・イギリス・ドイツなど20カ国以上で食べられているといいます。

製造量の増加に伴い、ワケあり麺も増えるため、2024年には豊橋市に「三ノ輪店」と「柱店」という2つの直売所を新たに開設しました。 山本製粉の担当者: 「お客さんが喜んでくれるのが第一優先ですので、要望にお応えしながら販売していきたい」 廃棄されていたはずの麺が“生活応援商品”として生まれ変わり、多くの食卓を支えています。 2025年5月22日放送