人材流出で「モノづくり王国・愛知」がピンチ 若者や女性の登用・福利厚生の充実で人材流出食い止めろ

世界の自動車産業を引っ張るトヨタや、日本の大動脈、東海道新幹線を有するJR東海など、愛知県はモノづくりで人材を引きつけてきました。しかし今、愛知県からの人材の流出が止まりません。その現状と対策について、中日BIZナビ編集部の森若奈記者に話を聞きました。

愛知県に転入してきた人から、転出した人を引いた数を見ると、愛知県は2016年以降は右肩下がりで、コロナ禍の2020年以降は転出超過、マイナスが続いています。一方、大阪府を見てみると徐々に右肩上がりになっていき、2024年の転入超過は1万8800人。福岡県も右肩上がりで転入超過が続いています。
愛知→東京は6415人、愛知→大阪は1155人

愛知から、東京には6000人以上、神奈川や大阪にも1000人以上の転出超過になっています。ただでさえ人手不足なので企業にとっては痛手です。人材確保をしようと、地方の企業も動き出しているようです。

西尾市の金属製品の製造業「コクネ製作」では、2つのことに取り組んでいます。1つは若者の登用を進めること。製造業は年功序列になりがちですが、若者の登用を積極的に進めました。若くても、能力があれば管理職になれるようになりました。
2つ目は福利厚生の充実です。一部の人しか利用できなかった高級リゾートの会員権や釣り船を手放した代わりに、提携した地元の飲食店で利用できるクーポンを、従業員1人あたり年間2万円分を渡し、従業員が平等で使える福利厚生に変えました。社長の宮島佑介さんに話を聞きました。

コクネ製作 宮島佑介社長:
「製造業であっても、やったらやった分、評価してもらえてやったらやった分稼げる。僕らが目指しているのはそうした会社なので、いろいろな人に愛知県で働いてもらいたいです」
女性が働きやすい環境づくりを推進する企業

岐阜県飛騨市でインターネット通販を手がける「ヒダカラ」は、若者だけではなく、女性が働きやすい環境をつくっています。従業員40人のうち、4分の3が女性。リモートで働くこともできる柔軟な勤務体系のほか、家庭の事情による遅刻や休日取得を連絡するための専用チャンネルをつくって「お互いさま」を根付かせています。
人材を流出させないためにできること

コクネ製作そしてヒダカラにも共通することですが、規模が小さくても、正当にがんばりが評価され、働きやすい会社には若い人材が集まっています。若い働き手の人口流出をとめるために、企業にできることはまだまだありそうです。
(2月17日放送「5時スタ」中日BIZナビ共同企画「東海ビジネススコープ」より)