トヨタ自動車の株主総会 “トランプ関税”の質疑ないまま終了 エコノミストにその背景を聞いた

トヨタ自動車の株主総会が12日開かれました。会場に入る株主からは「トランプ関税」の影響を心配する声が多く聞かれましたが…。
例年、国内外の注目を集めるトヨタ自動車の株主総会。去年を約2000人上回る6752人が愛知県豊田市の本社に足を運びました。
去年は車の量産に必要な「型式指定」をめぐる不正問題に厳しい視線が向けられましたが、今年は…。
Q.聞きたいことは?
「“トランプ関税”やこれからの自動車のあり方」(株主)
「今は関税ですよね。今後生産がどうなっていくのか」(株主)
今年4年ぶりに復帰したトランプ米大統領は、輸入自動車に25%の追加関税をかけると発表し、4月に発動。
アメリカを主力市場とするトヨタは、4月と5月の2カ月だけで営業利益が1800億円押し下げられると見込んでいます。
そして6月以降の収益への影響は、まだ明らかにしていません。
「“トランプ関税”で利益がどうなるか心配している」(株主)
「一番気になるのは来年3月の決算。自動車全体が関税の関係で低迷している」(株主)
多くの株主が“関税リスク"への懸念を抱くなか始まった株主総会。
認証不正問題を受けた企業改革の取り組みや、グループのトラック事業再編についての質問があがりましたが…。
関税をめぐる質疑はないまま、総会は2時間弱で終了しました。
出席した株主は…。
「そういえば関税を誰も質問しないな、会社からもあまり出ないなと」
「もう少し踏み込んだ質問や発言があるかと期待していたが(あまりなかったので)若干拍子抜けした気がする」
「敵対関係を作らずに、自分の『これがいい』ということを信じて進めていくことがきょう表れていて、(豊田会長の)”生声”が聞けてよかった」
「もっと具体的に株主総会の中で話してくれると思ったが、通り一遍という感じがした。株主総会はこういうものなのかな」
関税の質疑がなかったわけは

東海経済に詳しい専門家は…。
Q.株主総会で関税の質疑がなかったわけは?
「まだ結論が不透明な中での株主総会ですから、聞いても実効性のある答えが得られないタイミングだったということではないか」(三菱UFJリサーチ&コンサルティング 塚田裕昭さん)
とはいえ、関税の影響はトヨタ自動車にとってもこの地方の経済にとっても無視できるものではありません。
「先行き不透明感が高まっているということで、企業にしてもなかなか行動しづらい。東海地区の場合はかなり自動車に偏重していて、対米輸出のウェートが高いことがあるので、業種の幅を広げるといった動きを長期的には考えていく必要がある」(塚田さん)