
関税措置を巡り日米交渉が続く中”造船分野”に注目 交渉の大きなカードになるか

アメリカの関税措置をめぐって日米交渉が続く中、”造船分野”に注目が集まっています。その船の研究所が東海地方にありました。

「日本はタフな国だ。日本はアメリカに46%の関税を課していて、車などの特定品目ではより高い関税を課している」(トランプ大統領)
4年ぶりの就任以降、関税措置で世界各国を翻弄するトランプ大統領。
トランプ関税を巡り、赤沢経済再生担当大臣は13日再び訪米し協議に臨みます。
日本も手札をそろえるべく動いていますが、5月、石破総理大臣が口にしたのは―。
「日米の協力にあたっては砕氷船がひとつのポイントになってくる」(石破総理大臣)
氷を割りながら進む船「砕氷船」

砕氷船とは、北極や南極地域で水面の氷を割りながら進む船のこと。
日本では、南極観測船「しらせ」が有名です。
トランプ大統領は北極圏にあるグリーンランドに関心を持っているため、日本の造船技術で協力し、協議を進めたいという思惑です。
砕氷船は切り札となるのか…。
その注目すべき砕氷船に関する研究所が三重県にありました。
国内大手の造船会社「ジャパン マリンユナイテッド」。
津市にある研究所には、民間企業で国内唯一となる、氷の海を再現できる水槽が設置されています。
「南極や北極、オオーツク海でも(環境が)違うので、(研究所では)いろんな氷をつくれるようになっています。きょうの試験目的は試験の精度を確認する」(ジャパン マリンユナイテッド技術研究所 増田聖始 所長)
“トランプ関税”交渉のカードになるか

長さ20mの水槽の上に置かれたのは実際の大きさの27分の1ほど模型の船。
水槽の氷の厚さは約6cm。実際の海では厚さ1.5mほどに相当するといいます。
「毎年同じ計測ができて実験設備に問題がないか精度の確認をしています」(増田聖始 所長)
砕氷船は主に北極や南極に近い国が持っていると言いますが日本の砕氷船の強みとは…?
「氷を割る性能もですが、南極までの氷がない状態でも燃費がいいという、両方の性能がいいのが日本の特徴」(増田聖始 所長)
研究所によると、砕氷船は氷を砕く能力が高くなると氷の無い海を運航するのに不向きになるといいますが日本のものは、バランスよく運航できる高い技術力があるといいます。
Q.今後の開発について
「環境問題が言われていてCO2を排出しない燃料などでてくるので、環境に優しい砕氷船をつくることが大事になる」(増田聖始 所長)
現在は、ほぼ国内向けに技術の刷新や開発をしている砕氷船。
トランプ関税の交渉の大きなカードになるかもしれません。