
企業から学生に直接オファー…新卒採用で『ダイレクトリクルーティング』が盛んに 就活生や中小企業にもメリット


企業が学生に直接オファーを送る「ダイレクトリクルーティング」の利用が増えています。学生と中小企業の双方に新たなチャンスを広げ、就活の形を変えつつあります。
■企業側からオファーが…新卒採用でも盛んに
売り手市場を背景に、ますます早期化する就職活動。9月16日、説明会にいた大学3年生に昨今の就活事情を聞いてみました。

学生: 「自己PRとか、希望業界、勤務地とかを事細かに(登録する)。(企業からのオファーは)アプリに通知がきて、メールでも来ます」 就職活動といえば、学生が企業にエントリーして自分をPRします。しかし近年は、企業側が自社に合った学生に直接オファーする「ダイレクトリクルーティング」が新卒採用でも盛んになっています。

大学3年生: 「自分の興味があることしか見てこなかったところを、全然知らない企業からオファー来たら、少し視野が広がるかな」 「(オファーをきっかけに)説明会に行った」 自らの志望業界に特化しがちな従来型の就活と違い、ダイレクトリクルーティングでは思いもよらないオファーで自分に合う企業に出会えるのがメリットのようです。
■利用者数は直近5年で3倍に…アプリ「OfferBox」
ダイレクトリクルーティングのアプリの1つ、「OfferBox」。企業側は入力された情報を見て、自社の採用条件に合った学生に1通1通オファーを送る仕組みです。

アイプラグの中野智哉CEO: 「最大の特長は、オファーを送る数とか受ける数に制限がある。お互い真剣な会話をする。『あなたに』というメッセージを送れるので、かなり高い確率でオファーメールが開封されるので、知ってもらえる」

オファーボックスの利用社数は、愛知県だけで1591社。サービスを始めた2013年にはわずか3社でしたが、コロナ禍でのオンライン就活の影響もあり、ここ5年でも3倍に伸びています。
■どんなメッセージが学生のハートを射止めている?
名古屋に本社を置く「AZAPAエンジニアリング」は、自動車など、モビリティの制御開発を手がける中小企業です。

オファーボックスで実際に学生へ送ったメッセージを見せてもらいました。学科や部活動に触れるなど、その学生に特化した内容です。 <メッセージ> 「硬式野球部で軟式から硬式への適応という課題解決力を拝見しオファーさせてもらいました」 AZAPAエンジニアリング 水木貴廣さん: 「学生1人1人のプロフィールをしっかり読んで"その学生"にあったアプローチを個別で対応している。学生に興味を持ってもらうことが、大きな会社に比べて難しいので」 求人サイトなどでは埋もれがちな中小企業にとって、ダイレクトリクルーティングは自社アピールの切り札です。導入後、わずか2人だった新卒採用は6倍の12人に増え、このうち実に11人が、ダイレクトリクルーティングでの採用だといいます。

AZAPAエンジニアリング 新入社員の藤田真羽さん: 「それまでは知らなくて、オファーが来た時にこんな会社あるんだと思ってそこで調べ始めていいなと思って」 就活生、そして中小企業の味方としても広がるダイレクトリクルーティングに注目です。