SNSの投資詐欺の被害者が証言「詰めが甘かった…」 利益出ているはずが…1千万円被害 三重県

SNSを通じて近づき、恋愛感情や親近感などを逆手にとって金銭をだましとる「SNS型ロマンス詐欺」の被害がなくなりません。台湾在住の女性を名乗る人物から約1000万円をだまし取られたという三重県の男性が、その手口を話しました。
「だまされるとは思っていなかった。詰めが甘かった」
三重県鈴鹿市に住む50代の男性。SNSで知り合った人物から勧誘された”投資サイト”を通じ、約1000万円相当の暗号資産をだまし取られました。
きっかけは去年、Xで「台湾在住の女性」を名乗る人物から直接、男性のアカウントにメッセージが来たことだったといいます。
「日本に行った時に案内してほしい」といった連絡が届き、男性も台湾に旅行に行ったことがあることなどから始まったメッセージのやりとり。初めは、お互いに日々の出来事などを送り合う程度だったといいます。
「(相手の印象は)一般的に言われる『金・金・金』というタイプではなく、ボランティア活動もやっていて、ほかの人とは違う感じなのかなと」(被害者の男性)
そんな中…。
「1週間くらいで(投資の)話が出てきたが、その時は参加する気はなかった。そんなに強要されることもなく、普通にやり取りしていく中で『どうしても伝えたいことがある』と言われていろいろ情報をもらって」(被害者の男性)
やりとりの中で、何度か「投資」を勧められた男性。紹介された会社についても自身で調べてみましたが、怪しい部分は感じず、そのままサイトの登録をしたといいます。
「最初は5万円。様子を見ていたら4~5倍になったので、もうちょっと増やして40万、50万円」(被害者の男性)
サイト上では「利益」が出ているように見えたため、”投資額”を増やしていき、計約200万円を支払った男性。
雲行きが怪しくなってきたのは、そこからでした。
「金・金・金というタイプではなかったが…」

男性が、増えた金を引き出そうとすると、「税金」が必要だと言われたり、マネーロンダリングを疑われ「保証金」を要求されたり。
男性は、それらの指示に応じるため、追加で約800万円相当の暗号資産を支払ったといいます。
不審に思った男性は相手に連絡を求めましたが、返事はなく、そのままアカウントが凍結されたことから警察に相談し、事態が発覚しました。
「利益が上がっていて引き出すところまでは、調子に乗ってしまって、(人に)相談するとかなかった。結果的に投入した金が引き出せるなら返ってくる金額が大きいと思ってむちゃした」
「感情的には正直残念。本音としては(お金が)戻ってきてほしいが、なかなか難しいとは思っています」(被害者の男性)
三重県内の被害は1年で2倍以上に

このような、SNSをきっかけとして現金をだまし取られる詐欺は、近年深刻化しているといいます。
三重県警によりますと、2023年のSNSを使ったロマンス詐欺や投資詐欺による県内の被害は約11億6000万円。2024年には約27億1000万円と、2倍以上に膨れ上がりました。
三重県警が被害者にアンケートを実施したところ、半分以上の人が、被害を受ける前に、報道などで詐欺の手口を知っていたと答えたそうです。
それでも、なかなかなくならない、こうした「詐欺」の被害。
アンケートでは、現金を支払ってしまう前に周囲に相談した人は、約1割しかいなかったといいます。
「手口を知っていても、『自分は大丈夫』とだまされてしまう人や、巧妙な手口にだまされてしまう人が多いのが実情です。少しでも不安や疑問を感じたら、警察に迷わず相談してください」(三重県警 生活安全企画課 中野勇路 犯罪抑止対策官)