
サンマは豊漁もサケは不漁…“黒潮大蛇行”終息で日本の海はどうなる 海水温の低下で漁獲量回復に期待も


2017年から7年9カ月続いた「黒潮大蛇行」の終息が発表されました。黒潮の流れは、海水温や漁獲量などにも影響を与えるとされていますが、私たちの食卓に今後どのような変化をもたらすのでしょうか。
■“秋の味覚”サンマが豊漁 その一方で
これから旬を迎える秋の味覚・サンマ。名古屋・大須のスーパー「サノヤ」では、2024年の新物は1匹500円ほどだったのが、2025年はおよそ250円と、半値となっていました。

サノヤ鮮魚部の北本さん: 「今、一番力を入れて売りたいということで、店の一等席で販売しています。新物の生サンマですね。今年は大豊漁だと思います。2週間くらい前からですね、その頃はまだ売りが2匹780円。それでも去年・一昨年と比べるとかなり安い」 毎年、出始めのころのサンマはまだ細くて脂ものり切っていないことが多いと言いますが、2025年は身もまるまると太って、脂もたっぷり乗っていると言います。 客ら: 「2~3日前に札幌に行ってサンマを食べた。おいしかった、脂が乗っていて。つい見て買っちゃった。(豊漁は)もちろんうれしい。例年控えめだったから、今シーズンはおいしくいただけるんじゃない」 サノヤ鮮魚部の北本さん: 「去年は『サンマ高いから、今シーズンは1回だけにしようか』というお客さまもいたんですけども、今年はこれだけ値打ちでおいしいサンマですので、何度も食べてほしい」

その一方で…。 サノヤ鮮魚部の北本さん: 「秋鮭は今年、ちょっと不漁みたいですね。イクラもほとんど取れないような状態です。秋鮭に関しては、良い話は聞いていません」 水産資源などを調査する研究機関によりますと、2025年に北海道にやってくるサケは、平成以降で過去最低となるおよそ1141万匹の予想となっています。海水温の上昇が一因とみられ、サケが好むプランクトンの減少が原因とみられています。

不漁はサケだけではありません。和歌山県の白浜町は、全国有数のカツオの水揚げ量を誇りますが…。 ひろ福丸水産の濱弘孝代表: 「(カツオ漁を)5月から始めているけど、5月からちょっと少ない。7,8月からがたんと落ちた」
■「黒潮大蛇行」ついに終息…“豊かな海”取り戻せるか
今、日本近海で起きているのが「黒潮大蛇行の終息」です。 気象庁海洋気象情報室の担当者: 「大蛇行には戻らないと分かったので、終息したと判断した」 「黒潮」は本来、九州から関東にかけて、本州に沿うように流れています。しかし、7年ほど前から蛇行して流れるようになり、黒潮大蛇行と呼ばれていました。

気象庁海洋気象情報室の担当者: 「暖かいところが好きな魚、冷たいところが好きな魚とかありますので、沿岸の水温もかなり変わったりしていたので、藻類とかにもかなり影響があったという話は聞いたことがございます」 食卓に影響を及ぼす「黒潮の流れ」。サンマは北海道から南下してきて、秋からは三重県尾鷲市でとれるようになります。ここ数年は不漁続きでしたが、どうなるのでしょうか。

三重大学大学院の松田浩一教授: 「黒潮の影響で、サンマが南下する経路を遮断していたので、遮断する障壁がなくなったら、少しは北の方からサンマが来てくれる状況も出てくるんじゃないかと。(北海道は)豊漁とされているんですけれども、やっぱり水温が高い状況があり、予断は許さないと思っています」 黒潮大蛇行は、東海地方の海にも大きな影響を及ぼしていました。 三重大学大学院の松田浩一教授によりますと、三重県の沿岸では海水温が冬場では5℃、年間平均で2℃ほど上がったため、海藻を食べるウニの仲間の生き物が増加したといいます。 藻場がなくなり、イセエビ、アワビ、サザエなどもかなり減って、漁業に大きな影響が出ていました。

しかし、黒潮大蛇行が終息して現在は3〜4℃低い海水温になっていて、藻場の回復が期待され、三重県沖で不漁だったイカナゴ、サンマも今後は回復に期待できるといいます。一方、黒潮に乗ってくるカツオに関しては、プラス要因にならないかもということです。