天ぷら油で飛行機が空を飛ぶ 持続可能な航空燃料SAF 世界初の技術で「工場の小型化」に成功

ロシアによるウクライナ侵攻やイスラエルによるガザ侵攻など世界情勢が悪化する中、エネルギーの安定供給が難しくなっています。日本でも、ガソリンや重油といった石油製品が値上がりを続けていて、日本経済は大きなダメージを受けています。エネルギーの安全保障が揺らいでいる今、ある燃料が救世主となるかもしれません。
航空機が天ぷらの油を再利用して飛ぶようになる!?

1日に約250機の飛行機が離着陸する中部国際空港です。
駐機場を見てみると、小型機から大型機までさまざまな種類の飛行機が停まっていて、給油している様子も見ることができます。166人乗りの中型ジェット旅客機で約2.6万リットルの燃料を積むことができます。
記者:
「多くの燃料を使用して二酸化炭素の排出量が多い航空機ですが、将来、天ぷらを作ったあとの油で空を飛ぶことが当たり前になるかもしれません」
SAFの工場に潜入 低圧で生産する技術で工場の小型化に成功

田原市の工業地帯を車で進むと、京都市に本社を持つレボインターナショナルの工場に到着しました。この工場で天ぷらで使用した油を航空燃料に変えることができます。その燃料の名前は「SAF」。サステナブルアビエーションフューエル「持続可能な航空燃料」の略です。
レボインターナショナルの越川哲也社長は「小型の低温低圧で10気圧以下でできるのは世界初」と工場の特徴について話します。工場では、低圧でSAFを生産する世界初の技術を採用していて、工場の小型化に成功しました。その中を案内してもらうと…
レボインターナショナル 越川哲也社長:
「これがタンク。210リットルを貯められます。これからSAFを作ります」
食用油はタンクから製造装置に移されて化学反応を起こします。その後、バイオ燃料となり、SAFを作ることができます。この工場では、作られたSAFを中部国際空港に供給する方針です。
期待がかかるSAFの課題「廃食用油自体が日本国内で足らない」

未来の燃料として期待がかかるSAFですが、課題もあるといいます。
レボインターナショナル 越川哲也社長:
「コストが3倍から4倍かかるんですね」
「現状、国は2030年までに270万キロリットルをSAFに置き換えるのを目標にしています。ただ、世界で認められているのは廃食用油から作るSAFで、廃食用油自体が日本国内で足らない。業務系のものは30万トン、家庭からは10万トンと言われていて、全然足りません」
その解決策として別の原料を使う試みも始まっています。
レボインターナショナル 越川哲也社長:
「木質材や海洋漂着ごみ、廃プラスチックとか、そんなものからSAFを作る技術があるので、そういったものでSAFの需要量を賄えるようにしていければと思っている」