
“世界一”の重量挙げから転向…御年86歳のボディビルダー 普通の会社員だった55歳が筋肉の探求者となるまで


9月15日は敬老の日、名古屋に御年86歳の現役ボディビルダーがいます。55歳で始めた“筋トレ生活“、かつてはパワーリフティングで世界一にも輝いた“スーパーおじいちゃん”が、集大成となる大会に臨みました。
■鍛え上げた大胸筋 86歳の“レジェンド”
名古屋市港区の平野芳雄さん、86歳。現役のボディビルダーです。

Q.筋トレで意識していることは? 平野さん: 「やっぱり大きさだろうね。大胸筋、胸の大きさ」 週に5日通うジムで、この日も全国大会に向けて調整を続けていました。

足や腕、背中など、16種類のメニューをこなし、ベンチプレスでは55キロを持ち上げます。23歳の記者がチャレンジすると…。 記者: 「せーの…全然上がらないです。めちゃくちゃ重いです。平野さんのサポートがなければ、全然上がらない」 23歳の記者が苦戦する55キロを、86歳の平野さんは軽々と上げてみせます。

HEAT24中川店のトレーナー: 「86歳でやられているのはすごいなと思います。探求心っていうんですかね、私がトレーニングをしていると聞いてくるので、すごいなと思います」 ジム会員: 「かっこいいです。『自分も頑張らないと』ってなりますよね」
■遅咲きの筋トレ人生…「世界一」も経験
平野さんが筋肉に目覚めたのは55歳のとき、勤めていた東邦ガスに福利厚生のジムができたのがきっかけでした。 平野さん: 「『君の場合は“ケタ”が外れているから、よそのジムでやってくれ』と」 レベルの高いジムに移り、大会に出場するようになり、パワーリフティングの年代別世界大会50代・60代の部で4回優勝しました。60代ですでに「スーパーおじいちゃん」だったのです。

86歳のボディビルダー、栄養士の資格を持つ妻・廣子さんが作る朝食は、タンパク質が豊富です。

妻の廣子さん: 「卵と野菜は必ず入れるようにしています。バランスをとるという感じで作っている。そこまで深く考えてないですけどね」 平野さん: 「味付けが私に合うように作ってくれているからおいしい」

献身的な廣子さんの支えもあり、充実の“筋肉ライフ”を送ってきた平野さんですが…。 平野さん: 「『脊柱管狭窄症』っていうんですか、腰が痛くなって、もう重いものは絶対に上げることはできない」 67歳の時に腰を痛め、負担の大きいパワーリフティングは引退しました。しかし…。 平野さん: 「重いものは上げないけど、恐る恐るボディビルをやってみようかなって」 腰がダメならと、パワーリフティングから81歳でボディビルに転向。2024年、マスターズの85歳以上級に初出場し、2025年が2回目の挑戦です。 得意なポーズは、上半身を観客側に向けてひねるサイドチェスト。

平野さん: 「続けることが大事です。続けていると、今まで上がらなかった重量が、なぜか突然上がるようになる」 継続は力なり。平野さんが大会にかける思いは強いようです。

平野さん: 「今シーズンを最後にしようと思っていますけど。(大会後は)歌舞伎とか、コンサートとか、旅行とか」 筋トレ人生30年の集大成、必勝を祈ります。
■86歳で挑む“最後の大会” 勝つための“奇策”も
迎えた大会当日、平野さんは「お座敷小唄」の調べにのせて、得意のポーズを決めていきます。

平野さん: 「他の人は全部洋楽なんです。同じことをやっていてはアピールするところがないから、私は演歌で挑戦したんですけど」 意外な選曲も勝つための戦略。しかし、5人が出場した階級で、結果は最下位でした。

大会の5日後、再びジムを尋ねてみると…引退するはずの平野さんがいました。 平野さん: 「(ジムにいるのは)健康のためです。90歳になっても自分の足で歩きたい。やっぱりトレーニングを増やす、そして筋力を増やす」 Q.まだボディビルをやりたい気持ちは残っている? 平野さん: 「残っています」

86歳のボディビルダーの挑戦は、まだまだ続きそうです。