2024年11月21日放送
【イマネタ】男性が語る苦悩「聞こえるのに聞き取れない」 増加する“聞き取り困難症”とは?
ドデスカ!イマネタ
聴力検査では正常なのに会話の内容が聞こえなかったり、会議についていけなかったり。そうした悩みを持つ人はもしかしたら「聞き取り困難症」かもしれません。苦悩を抱える東海地方の男性を取材しました。
「音が聞こえにくい状態なんですか?」(島津咲苗アナウンサー)
「音自体は聞こえているんですが、内容がどういうものであるか聞き取りが困難という状況です」(聞き取り困難症のS・Yさん)
三重県に住む40代のS・Yさんは2年前に“聞き取り困難症”の診断を受けました。
静かな個室などでの会話は問題ありませんが、音楽や大きな音が鳴っている場所では相手の声を聞き取るのが難しいといいます。
「どんな症状が出ているのでしょうか?」(島津アナ)
「雑音が多い場所や電話の声を聞き取るのが難しい」(S・Yさん)
「雑音というのはどんな音?」(島津アナ)
「例えば電車の走る音や車のクラクションの音。カフェやレストランで流れるBGMも雑音に感じてしまう。色んな音が混じりあってしまい話し相手の声が聞こえにくくなる」(S・Yさん)
「聞き取りにくいと感じ始めたのはいつ?」(島津アナ)
「昔から聞き返したり、『聞こえてないね』と言われたり、『無視してるだろ』と言われることがあったので思い当たる節はあったが、だいたい2年ぐらい前に仕事で固定電話をとったときに聞き取りができなくてトラブルになったことがあった。周囲からは『十分聞こえているよ』『内容も伝わっているよ』と言われたが、私の中ではあまり聞こえなかったのでそのギャップに戸惑いがありました」(S・Yさん)
LiDやAPDと呼ばれる“聞き取り困難症”。それぞれ「聞き取り困難」、「聴覚情報処理障害」を意味します。
聴力検査では問題がなく、耳から音が入る「ヒアリング」はできても、それを聞いて理解する「リスニング」が難しい。
つまり“聞こえるのに聞き取れない”という状態です。
日本研究医療開発機構によると海外では人口の0.2~5%、聞き取り困難症の人がいるといいます。
「2年前に耳鼻科に行きそこで『LiDに近いですね』と指摘され大学病院を紹介してもらいました。自分の聞き取りの困難さがどういうところからきているのかわかって少し安心した部分もある」(S・Yさん)
「それまではずっとモヤモヤしていた?」(島津アナ)
「理由がわからなくてどうしたらいいんだろうという思いがありました」(S・Yさん)
東海地方で “聞き取り困難症”の検査を行う名古屋大学病院の吉田忠雄准教授に話を聞きました。
「最近の調査では子どもの1%程度は聞き取り困難症なのではないかという報告がある。当院でも検査を始めたのは2年ぐらい前からだが、この2年間で200人以上は検査を行っている。今は当事者たちのSNSなどで広まり、まだまだ増えている状況」(名古屋大学病院 吉田忠雄准教授)
“聞き取り困難症”かどうかを判断する検査では、「『言った』を『知った』など聞き間違いが多いかどうか」、「複数人での会話になると注意がそれてしまうか」、「早口の言葉を聞き取れるか」などを調べるといいます。
「疾患概念に関しても少しずつ確立してきたところなので、まだちょっと対応というか、薬などの治療に関してはまだこれからの段階。病気というよりはそういった聞き取りの特性と考えていただければよくて、聞き取り困難症という特性が社会に広く知られることが大事。環境によって聞き取りが難しい人もいることを知っていただいて、音楽のボリュームを下げるとか環境を調整することも必要だということを知ってもらうことが大事」(吉田准教授)
“聞き取り困難症”の課題の1つが社会における認知度の低さ。
実際S・Yさんも症状の説明をするのが難しく、生活の中で苦悩を抱えることがあるといいます。
「役所に行ったときに周囲の雑音に阻まれて、肝心の職員さんとのやりとりが聞き取れないことがありました」(S・Yさん)
そこでS・Yさんは「ゆっくり話してください」というステッカーを見せて、今後は説明していけたらと話します。
S・Yさんは三重県内の“聞き取り困難症”の人たちで作る当事者の会に参加。
「ノイズキャンセリングイヤホンを使うと会話がしやすくなる」といった生活の中での工夫をアドバイスしあったり、“聞き取り困難症”を広く知ってもらうための活動も行っています。
「コミュニティーに参加することでご自身に変化はありましたか?」(島津アナ)
「LiDが自分だけの問題ではなくて社会的な問題だと実感しました。まずは多くの人に知っていただくことが大事かなと」(S・Yさん)
番組詳細
ニュースでは伝えきれない「生活ネタ」や「地元の小さな話題」まで、今気になる鮮度の高い地元・東海3県のニュースを徹底取材。竹田基起アナ・島津咲苗アナがフットワークよく取材に急行、現場の臨場感と共に地元のニュースを伝えます。
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